東京大学社会科学研究所「社会連携研究部門」「危機対応学『地域貢献見える化』事業」主催シンポジウム「流域に着目して未来を考える~地域社会の危機への総合的なアプローチ~」報告

2021年8月13日

2021年86()に、全国各地をオンラインで繋いだ、東京大学社会科学研究所「社会連携研究部門」「危機対応学『地域貢献見える化』事業」主催シンポジウムを開催しました。

現在、世界全体で、気候変動による水害の頻発化、台風、熱波、地震にコロナ禍など、複合災害が多発、わが国では、生産人口減、少子高齢化、人口減少などが進み、地域はさまざまな持続性の危機に直面しています。この難局を乗り越えるため、本シンポジウムでは、河川流域という地域単位に着目した取り組みの可能性を探ることを目的として、九州筑後川流域で活動する方々と共に、地域の取組み根差した議論を行いました。

具体的には、モデレーターの中村尚史(東京大学社会科学研究所教授)の司会進行のもと、加藤孝明(東京大学生産技術研究所教授/同社会科学研究所特任教授)と中村寛樹(東京大学社会科学研究所准教授)による趣旨説明から始まり、一般財団法人筑後川コミュニティ財団の宮原信孝氏、筑後川プロジェクトの駄田井正氏・西本英雄氏、加藤孝明による講演、筑後川流域を舞台にした映画の一部先行上映を行い、最後に登壇者らによるパネルディスカッションを実施しました。

議論のキーワードとして、「自然・農山漁村・都市=つなぐものが川(流域)」、「社会制度にとらわれない流域治水と地域創生」、「現場重視」、「外部の知恵と支援」、「質の良い生活は金より物より心であり経済力より文化力」、「コミュニティバンク」、「上流の責任と下流の責任」、「地域発信で組織上位を動かす」、「浸水と親水」、「面白く楽しくやる・できるところからやる」、「地域と一体となった地方大学」、「地域に歴史あり」、「防災『も』まちづくり」、「温故創新」、「機能的な価値と情緒的な価値」、「域が動けば社会が変わる」など多岐にわたる論点・意見が提示され、白熱した議論が展開されました。フロアからもたくさんの質問が寄せられ、事後アンケートにおいても、たくさんのご意見・感想が寄せられ、アンケート回答者の9割以上に、今回のシンポジウムは「大変参考になった」もしくは「参考になった」と評価して頂きました。

また、本シンポジウムでは、今後、活動を実際に進めていくうえでの需要や意見なども、別途アンケートで尋ねており、事業を進めていくうえで重要な、新しい視座も得られました。今後は、それらの意見等を基に、アカデミックな連携のみならず筑後川流域をはじめとした全国における現場での実践活動における連携に活かしていく予定です。

今回の参加人数は、オンライン参加計226名です。ご参加いただいた全ての皆さまに、あらためて深くお礼を申し上げます。

(文責・中村寛樹)

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東京大学社会科学研究所「社会連携研究部門」「危機対応学『地域貢献見える化』事業」主催シンポジウム

流域に着目して未来を考える
~地域社会の危機への総合的なアプローチ~

【日時】:2021年8月6日(金)13:30~16:30
【場所】:オンライン(Zoomウエビナー)
【プログラム】(司会:中村尚史/東大社研教授)

  • 開会挨拶
  • 趣旨説明(加藤孝明/東大生産研教授、東大社研特任教授・中村寛樹/東大社研准教授)
  • 講演
    1. 開発・復興支援の経験と現在の地域での取組み
      宮原信孝/一般財団法人筑後川コミュニティ財団理事長
    2. 「筑後川プロジェクト」の取り組み
      駄田井正/一般社団法人筑後川プロジェクト協会代表理事、久留米大学名誉教授、筑後川まるごとリバーパーク考案者
      西本英雄/筑後川ビジネス株式会社、福報メディアエージェンシー代表取締役
    3. 流域治水+防災【も】まちづくり
      加藤孝明/東大生産研教授、東大社研特任教授
休憩:筑後川流域ショートフィルム「NOISE OF FLOW」
(監督:梶原涼晴、主演:植野堀 誠・初音)一部先行上映
  • パネルディスカッション(コーディネーター:中村尚史)
    (宮原信孝・駄田井正・西本英雄・加藤孝明・中村寛樹)
  • 閉会挨拶

チラシ

どなたでも参加可・無料