地域協働研究会成果報告会を開催しました

2020年2月20日

 2月6日(木)、東京大学社会科学研究所において、「小ネタが紡ぐ地域の未来」をテーマに、危機対応学関連イベントである地域協働研究会成果発表会を開催しました。

 社会科学研究所の玄田有史をモデレーターに、ゲストとして特定非営利法人越後妻有里山協働機構理事の玉木有紀子氏、海士町役場の高田健二氏をお招きしました。

 最初に玄田有史が、元気な地域には、その土地の現在の旬を表し、かつ、地域の動きを感じる「小ネタ」が豊富にあることを示し、「人口が減っても、地域はそう簡単になくならない。だが、小ネタが尽きると、あっという間に地域は衰退していく」というKNT理論(仮説)を議論の前提として提示しました。

 玉木氏からは、新潟県十日町市と津南町で3年に一度開催されている「大地の芸術祭」について報告がありました。作家と住民が共に作品制作に関わる中で、地域の風景・風習やお年寄りの技が見直し・活用され、住民が「アートはデイサービスよりも楽しい」と述べるなど、様々な小ネタの誕生とともに人々が楽しんで芸術祭に協力していく姿が紹介されました。

 高田氏からは、CAS導入や島留学などメディアで話題となった海士町の特徴的な事例を敢えて避け、人々の暮らしや町の文化について報告がありました。ともすれば一見不合理にもみえる、島ならではの伝統行事や祭りについて、小ネタを含めたユニークな紹介がなされ、そこには人々の確かなつながりや絆の深さが息づいており、都市から人を呼び込む要因となっていることなどが説明されました。

 最後に、社会科学研究所の荒木一男から自治体の政策に如何に小ネタを活かすかについて報告しました。

 その後、会場の人たちも一緒に地域の豊かさと小ネタの関係について意見交換を行いました。また、地域だけでなく、企業の海外進出など様々なシーンにも小ネタが有用であることなども示されました。

 当日は25名の方にご来場いただきました。ありがとうございました。