危機対応学・第2回釜石調査の記録

2018年3月13日

第2回釜石調査

 危機対応研究センターでは、2月12日から2月26日にかけて、第2回の釜石現地調査を実施しました。今回の調査は、8月に実施した予備調査をふまえた第一次の本調査でした。当初、本調査は2018年夏に一気に行う予定でしたが、予算や参加メンバーの都合もあり、2月と8月の2回に分けて実施することにしました。今回も、釜石市役所の皆さまには、調査の準備、実施など様々な面で多大なご協力をいただきました。心よりお礼を申し上げます。

調査の日程と内容

 今回の調査では、現地に調査本部を設置せず、釜石市役所のご協力を得ながら、各研究班がそれぞれ独自に調査・研究を実施しました。その具体的な日程は以下の通りです。

地域経済班...2/12~17
釜石高校調査班...2/18~20
地域政治班...2/15~17
地域企業班...2/18~20
地域漁業班...2/16~18
地域社会班...2/16~21、25~26
地域文化班...2/16~20、23-25
地区縦断調査班...2/25~26

各班は、オーラル・ヒストリー、企業調査、個別聞き取り調査、映像記録、現地視察といった多様な調査を展開しました。自らもオーラル・ヒストリーに応じてくださった野田市長、山崎副市長をはじめ、釜石市役所の皆さまに、心よりお礼を申し上げます。

湾口防波堤の視察

 今回の調査の一つの目玉は、2月19日に実施した釜石湾口防波堤の現地視察でした。釜石港の入口にある湾口防波堤は、水深63mという世界最大水深を誇る津波防波堤です。東日本大震災で被災したものの、現在、復旧工事が進んでいます。このたびは国土交通省釜石港湾事務所のご厚意で、釜石港湾口防波堤を見学するという貴重な機会をいただきました。釜石港を出発し波に揺られながら防波堤建設・再建のお話を伺うこと約20分、調査メンバーを乗せた船が北堤に近付きました。

「まさか登れはしないだろう」と思っていたら、なんと上がって見学できるとのこと。一同興奮しながら、急な階段をよじ登り堤防の上に立ちました。海を区分ける990メートルの直線の迫力にはただ圧倒されるばかりで、壮大な建造物を作り、そして維持することの大変さを実感しました。あわせて防波堤を含むこの港こそが、釜石のローカル・アイデンティティなのだと、防波堤横を通り過ぎる大型船や海側からの市内の光景を眺めながら考えました。

 ご案内下さいました釜石港湾事務所の皆様、ご企画下さった釜石市役所の皆様に改めまして御礼申し上げます。

釜石高校報告会

 今回の調査のもう一つの目玉は、2月19日に岩手県立釜石高等学校で実施した釜石高校調査報告会でした。「釜石高校・東大社研 学校生活向上プロジェクト」として、高校1年生と2年生を対象に昨年実施したアンケート調査の結果を、釜石高校の生徒と先生に報告しました。学力や高校生活満足度を向上させるために大切なことや、そのために自分自身の性格を知ることが大切であるという話に、生徒たちは真剣に耳を傾けてくれました。

トークイベントの実施

 さらに今回の調査にあわせて、2月17日の午後には第4回の危機対応学トークイベント「海と希望の学校 in 釜石」も実施しました。このイベントは、2018年度に開始する「海と希望の学校 in 三陸」のプレ・イベントでしたが、多くの市民の方々にもご参加いただき、大盛況でした。その内容については、トークイベントのページをご覧下さい。

 最後になりましたが、今回も、調査の実施にあたり、釜石市役所総合政策課の皆さまに、調査対象者、部署との調整や現地視察の企画、そしてイベントの準備と、何から何までお世話になりました。いつものことながら、ご協力に心から感謝いたしております。ありがとうございました。

 (文責・玄田有史・中村尚史)