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- 東大社研・中村尚史・玄田有史(編)『地域の危機・釜石の対応』
所員の著書
東大社研・中村尚史・玄田有史(編)
『地域の危機・釜石の対応 多層化する構造』
(東京大学出版会, 2020年6月)
2020.7.16更新
はしがき(中村尚史・玄田有史)
序 章 戦後釜石における危機の多層化――災害・産業構造転換・人口収縮(中村尚史)
- 多層化する地域の危機
- 突発的な危機
- 段階的にすすむ危機
- 慢性的な危機
- 地域の危機への対応は可能か?
第I部 政治と行政の危機対応
第1章 震災と地域の収縮――「二重の危機」への対応(佐々木雄一)
- 大災害と地域――政治・行政の観点から
- 非常時の行政――山積する業務,目の前の対応
- 平時への移行?
- 何が適切な事業か――「二重の危機」のなかで
- 復興過程から見えてくるもの――釜石の特殊性と普遍性
第2章 危機において政治にできること,なすべきこと――釜石の未来図とその責任(宇野重規)
- 災害と政治
- 被災当日の行動
- 政治の役割
- 人材と情報源
- 住民との合意形成
- 希望と期待
- 釜石の未来図
第3章 財政からみる釜石市の危機対応力 ――役立った力と今後必要な力(荒木一男)
- 震災時の市財政にどのような問題が生じたのか
- 震災の事前・事後における市財政
- 釜石市の対応能力
- 常日頃からの危機対応力
- 釜石市の財政の今後
第4章 災害対策本部というドラマ――転用組織の入れ子構造(竹内直人)
- 自治体危機対応組織への視点
- 微妙に異なる組織活動の評価
- 入れ子構造の解読
- 日本型災害対策本部の課題
第5章 多層化する地域防災――トリガーや心持ちの重要性(佐藤慶一)
- 知識と実効性
- 責任と自立
- 社会関係資本と自立的復興
- てんでんこと要配慮者
- 福祉避難所と持ち場
- マニュアルや計画と訓練
- トリガーと心持ち
第II部 経済主体の危機対応
第6章 地方企業のフューチャー・デザイン――地域内の関係・外部からの調達(高橋陽子・中村圭介)
- 産業集積の三つのエッセンス
- 釜石の製造業従業員数
- 縮小する労働プーリング
- 中間投入
- 知識・技術の伝播
- シニアの動きが今後のカギ
第7章 釜石港の再生と地域の危機対応能力 ――T字路から十字路へ(橘川武郎)
- T字路の分岐点,釜石
- 震災以前の釜石港
- 震災後の湾口防波堤の再生
- 震災後の釜石港の再生――工業港から「広域経済圏の流通港」への変身
- 地域の危機対応への示唆
- T字路から十字路へ
第8章 三陸鉄道をめぐる希望と危機――地域公共交通経営の普遍性・特殊性(二階堂行宣)
- 被災地の希望,三鉄
- 三陸鉄道の発足――危機の回避
- 三陸鉄道の経営悪化――危機の深化
- 東日本大震災――危機と希望の併存
- 三鉄の危機対応と希望対応
第III部 地域社会の危機対応
第9章 個人の危機と法制度――地域における法化と制度化の間隙(飯田 高)
- 危機としてのトラブル・法的問題
- 個人はどんな危機に遭遇しているのか
- 法的サービス・法制度の利用
- 地方における個人的危機の変容
- 地域の比較を通じて見えるもの
第10章 高校生人口の減少と高校生活――通学範囲広域化の影響分析(田中隆一/近藤絢子)
- 人口減少と学校
- 岩手県立釜石高等学校
- データ
- 通学時間の影響
- 出身地域の多様化と人間関係
- 卒業後の進路
- 高校における多様性と社会化
第11章 住宅再建までの判断と道程――同じ町の人々の異なる8年間(西野淑美・石倉義博)
- 住宅再建の時期はなぜ世帯によって異なるのか
- A町で調査を続ける意味
- A町における8年間の復興事業
- それぞれの世帯にとっての8年間
- 選択とアレンジメント
- 個人の危機対応,釜石の危機対応
第IV部 地域の記憶と危機対応
第12章 記憶の社会的チカラ――記憶と共に生きるための歴史実践(梅崎 修・竹村祥子・吉野英岐)
- なぜ,記憶を取り上げるのか
- 釜石における集合的記憶の諸相
- 記憶と共に生きる
第13章 魚のまち,途中の時間――危機と共に生きる人々と水産業(高橋五月)
- 途中の時間性
- 新魚市場と「魚のまち」再興
- 水産の危機をめぐる語り
- 「魚のまち」の途中の時間
- 8年後の石碑
第14章 つながること,つづけること――まつりを復興させる意味(佐藤由紀・大堀 研)
- 「まつり」という出来事
- 「まつり」を復興する
- 釜石市における「まつり」の復興過程
- 「まつり」を復興する人びと
- 「まつり」復興の意味と危機
終 章 危機対応と希望――小ネタが紡ぐ地域の未来(玄田有史・荒木一男)
- 危機群への対応と希望の再生
- 実践的な手がかりを求めて
- 衰退しない地域に共通すること
- 釜石で出会った小ネタの数々
- 小ネタがもたらす対応と希望
- 大ネタのみによる活性化の呪縛
- ブリコラージュとエンジニアリング
- これからの地方行政
- 大ネタと小ネタの連携
- 小ネタを紡ぎ続ける