東京大学社会科学研究所

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社会科学研究所について

研究所長からのご挨拶


社会科学研究所長
宇野重規

 東京大学社会科学研究所にようこそ。所長の宇野重規です。

 東京大学社会科学研究所(通称は「社研」です)は、東京大学に11ある附置研究所の一つで、1946年に設立されました。現在では、比較現代法、比較現代政治、比較現代経済、比較現代社会、国際日本社会の五部門に加え、社会連携研究部門、附属社会調査・データアーカイブ研究センター(CSRDA)によって構成されています。

 社会科学は社会の多様な事象を観察し、その実態や因果関係を解明すると同時に、どのような制度や政策が望ましいかを考察します。社会科学の営みによって、私たちは自分たちとその社会をよりよく理解し、さらには変えていくことが可能になります。社会科学とは、社会の自己理解と自己変革のためにあるのです。

 社研を設立するにあたって、当時の総長であった南原繁は「純粋に学問の立場から、戦後の復興、平和民主国家及び文化日本建設のために、真に科学的な調査研究を目指す機関の必要なるを痛感せしめられるに至った」と述べています(「社会科学研究所の設置について」『社会科学研究』第一巻、1947年、157頁)。

 多くの人々の生命と暮らしを奪った戦争に対して、なぜ学問は抵抗できなかったのか。時勢に歪められるままに、なぜ自らの責任をはたせなかったのか。戦後改革に先だって、東京大学自身が変わることを目指して設立されたのが社研です。「真に科学的な調査研究を目指す機関」という理念は、今日も変わることがありません。

 社研の設立にあたっては、「正確な資料の組織的な蒐集」「厳密な科学的比較研究」「現実に深く基礎を置く社会科学研究」という三つの「理由」が記されています。時は流れ、社会の状況は設立時と同じではありませんが、学問の独立のもと、グローバルな比較の視座と資料・データの尊重を旨に、私たちは社会をより深く研究していくことを目指します。

 法学、政治学、経済学、社会学という社会科学の四つの分野の研究者が結集する社研では、それぞれの研究者が自らの専門分野の基礎研究を深化させると同時に、全所的プロジェクト研究グループ共同研究を通じて、社会科学の総合知の実現を目指して活動しています。全所的プロジェクト研究は、社会科学上の重要なテーマを、所内外、国内外の研究者と数年間をかけて行う共同研究であり、社研で60年以上続けられています。

 さらに社会調査の独自の実施やデータの収集・保管・提供を行う附属社会調査・データアーカイブ研究センター(CSRDA)、日本の社会科学研究の成果を世界に発信する役割を担っている英文の社会科学専門誌Social Science Japan Journal(SSJJ)、社会科学の豊富な資料を収集・保存している図書室など、社研の活動は多岐にわたります。

 現在では、若手の社会科学研究者養成や、多様性、公正性、包摂性(Diversity, Equity, Inclusion)の実践も、社研の重要なミッションになっています。社会科学は、社会に生きる人々と共に歩み続けるものでなければなりません。私たちは、社会の中で悩み、苦しんでいる人々に思いを寄せ、人間の尊厳を実現するための研究活動を目指します。

 最後に「学問は楽しい!」ということを強調しておきたいと思います。私たちは、社研を「深くて広くて愉快な」学問の場にしていきたいと願っています。多くの方に社研に関心を持っていただき、その活動に参加していただけますと幸いです。随時、このホームページと社研メールニュースなどで情報発信をしていきますので、ご注目ください。

 社研の活動に対する引き続きのご支援、ご協力を心よりお願いいたします。

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