2022年度第2回研究会開催(社会科学の哲学)報告者・田口雄一朗
日時:2022年6月23日(木)15:00~16:40
場所:オンライン(Zoomミーティング)
タイトル:「M. Weberの社会科学方法論における「価値」の多義性について」
報告者:田口雄一朗 氏
対象:研究会メンバーのみ
報告要旨:近年科学の価値自由について問い直す議論が継続的に行なわれている。概ね価値を何らかの仕方で組み込んで科学を考えねばならないという点で合意は得られているものの、その方向性について定見があるわけではない。この議論の中では、「価値自由」について明示的に論じたことで知られるM. ヴェーバーは、とりあげられることがないか、もしくは価値自由の主唱者であることが前提とされる傾向にある。だが、彼自身が社会科学(または社会学)方法論の検討において「価値」という語を価値自由の論点以外でも用いていたことは、考慮の余地のある事柄である。本稿ではヴェーバーの価値に関する議論を整理することで、現代の価値自由の議論にどのような展望が加わるかを検討する。