東京大学社会科学研究所

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研究

『社会科学研究』第58巻第2号

魯迅の描く「人」と届かない「声」,そして法
The man whom Lu Hsun writes about and the voice which the man can not understand. and in addition the law
松田恵美子/MATSUDA Emiko

Keywords: 魯迅, 交通死, 語り, 傾聴, 法の技法,

抄録

 現代社会におけるあるべき秩序の形成に大きな役割を担う法が, その根源的価値を何とすべきかが, 今まさに問われている.この課題を考えるために, 一つには, 秩序が人と人の間の関係を保つ意味を持つものであることから, そもそも「人」とは如何なるものかを問うことが必要となる.そしてもう一つには, 近年, 社会を覆う近代法のシステムの下で, その枠に収まらない人々の声が多様な形で吹き出してきていることから, 「近代法」の検討も必要になる.そこでこれらの検討を行なったところ, 複雑且つ多面的な人を前提として, 近代法が無意識のうちに切り捨てたものを汲み上げる法のあり方を考える必要性が感じられた.それとともに人が他者との関係性の中に生きていると考えられることから, 近代法の再考のために共同体の意義の検討の必要性が, さらなる課題として浮かび上がったのである.

abstract

What is the most important purpose to protect by law? What is the order to be built by law? We must consider these questions. To consider them we have to study some points ; how a man live in the society, what meaning a community have for a man, and why a man can not understand well what another man wants to tell him. After studying those, we must consider the modern law system again. Besides we have to consider the first questions.

社會科學研究 第58巻 第2号(2007-02-02発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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