地域の危機・釜石の対応 ―多層化する構造― 東大社研/中村尚史/玄田有史編

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地域の危機・釜石の対応 ―多層化する構造―
東大社研/中村尚史/玄田有史編

<内容紹介>
地域における危機には、ゆるやかにすすむ慢性的な危機、段階的にすすむ危機、そして突発的な危機がある。本書の地域調査では、岩手県釜石市を例として、それらの危機に対して人々がどのように向き合い、対応してきたのか、また対応しようとしているのかを、特に記憶の力に着目しながら考察する。

主要目次

  • はしがき 玄田有史/中村尚史
  • 序章 戦後釜石における危機の多層化 ―災害・産業構造転換・人口収縮 中村尚史

第Ⅰ部 政治と行政の危機対応

  • 第1章 震災と地域の収縮 ―「二重の危機」への対応 佐々木雄一(明治学院大学)
  • 第2章 危機において政治のできること、なすべきこと ―釜石の未来図とその責任 宇野重規
  • 第3章 財政からみる釜石市の危機対応力 ―役立った力と今後必要な力 荒木一男
  • 第4章 災害対策本部というドラマ ―転用組織の入れ子構造 竹内直人(京都橘大学)
  • 第5章 多層化する地域防災 ―規範としてのトリガーや心持ち 佐藤慶一(専修大学)

第Ⅱ部 経済主体の危機対応

  • 第6章 地方企業はどこに行く ―地域内の関係・外部からの調達 高橋陽子(JILPT)/中村圭介(法政大学)
  • 第7章 釜石港の再生と地域の危機対応能力 ―T字路から十字路へ 橘川武郎(東京理科大学)
  • 第8章 三陸鉄道をめぐる危機と希望 ―地域公共交通経営の普遍性・特殊性 二階堂行宣(法政大学)

第Ⅲ部 地域社会の危機対応

  • 第9章 個人の危機と法制度 ―地域における法化と制度化の間隙 飯田 高
  • 第10章 高校生人口の減少と高校生活 ―通学範囲広域化の影響分析 田中隆一/近藤絢子
  • 第11章 住宅再建までの判断と道程 ―同じ町の人々の異なる8年間 西野淑美(東洋大学)/石倉義博(早稲田大学)

第Ⅳ部 地域の記憶と危機対応

  • 第12章 記憶の社会的チカラ ―記憶と共に生きるための歴史実践 梅崎 修(法政大学)/竹村祥子(岩手大学)/吉野英岐(岩手県立大学)
  • 第13章 魚のまち、途中の時間 ―危機と共に生きる人々と水産業 高橋五月(法政大学)
  • 第14章 つながること、つづけること ―まつりを復興させる意味 佐藤由紀(玉川大学)/大堀 研(青山学院大学)
  • 終章 危機対応と希望 ―小ネタが紡ぐ地域の未来 玄田有史/荒木一男
  • あとがき 中村尚史/玄田有史

※所属先の記載がない執筆者はいずれも東京大学社会科学研究所所属。