出版までの手順についてご説明します。
Ideas (着想)
東京大学は世界最高レベルの大学の一つです。その東京大学で研究活動を行う研究者として、あなたが持つ研究分野に関する豊富な知見とユニークな視点は、まさに海外大学出版局や出版社の編集者が求めているものです。
Choosing a Publisher(出版社を選ぶには)
研究を一冊の本にするために、あなたの研究と著作を読者にとって魅力的に見せることが必要です。誰があなたの読者なのか、あなたの研究に興味を持ってくれそうな出版社はどこなのかを、はっきりさせる必要があります。
Proposal (提案)
編集者があなたの研究に関心を持つかどうかを知るには、提案書(Book proposal)を作成するのが最善です。提案書の書き方はかなりの程度、標準化されています。ガイドラインに沿って提案書に企画の概要、章のアウトラインを示すことで、あなたの本にふさわしい分野や潜在的な競合相手、最終的に完成した際の本の長さや提出時期を明らかにします。
Refereeing (査読)
提案書(Book proposal)は匿名の審査員によって査読が行われ、その報告書があなたの元に届きます。報告書にはしばしば提案書の良い点と悪い点が両方書かれていますが、著者たちは当然、悪い点に目が行きがちです。最善なのは、良い点を強調しつつ、批判について修正を提案したり、あるいは自分のアプローチをしっかりと擁護することです。査読報告書に効果的に対応するのは重要です。
The Contract (契約書)
契約書は有力な出版社の間では比較的標準化されていますが、契約書を注意深く読み、関心のある点を確認することが大切です。印税や初版の部数、献本部数、翻訳を含む著者としての権利には、いくつか細かい課題があります。編集者と疑問点を確認することが大切です。
Submission (提出)
契約を交わし、原稿提出の目標日が決まったら、いよいよ執筆に取り掛かります。もし提出の締切りを延長する必要が生じた場合には、編集者と交渉できます。できるだけ早いタイミングで依頼することが重要ですが、出版社側にも新刊広告の計画があり、原稿をいつまでに完成するのかをはっきりさせる必要があります。
Corrections (校正)
本の原稿を提出した後にも、まだまだやることがあります。審査員や出版社から修正の依頼が来ることがしばしばあります。その修正が広範囲に及ぶ場合、時間がかかりますし、通常は新たな締切りが設定されます。
原稿が出版の許可を得てからも、コピーエディターが原稿をチェックし、意味が明らかでない箇所の確認や改善のための提案のリストを送ってきます。そのほとんどは、本をその出版社の形式や典拠に関するルールに適合させるためのものです。もし執筆の時点でそれらの点を意識しておくことができたならば、その段階で多くのトラブルを避けることができます。
最終的に、校正刷りが送られてきます。これが修正の最後の機会になります。通常この時点では、内容の根幹にかかわるような修正をすることはできません。誤植などの小さなミスを見つけることに集中します。