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研究

社研セミナー

現代独裁制の比較政治学: 「民主主義を装う権威主義」を超えて
東島雅昌(社会科学研究所)

日時:2023年4月11日(火)15時~16時40分
場所:オンライン(Zoom)
参加方法:所外の方はこちらのお申込フォームからお申込ください。前日にZoomのURLを送付いたします。

(申込締切日:4月10日 16:00)

報告要旨

 報告者はこれまで現代の権威主義体制の統治のあり方とその変容を比較政治学の立場から分析し、今年3月に『民主主義を装う権威主義: 世界化する選挙独裁とその論理』(千倉書房, 英語版: The Dictator’s Dilemma at the Ballot Box: Electoral Manipulation, Economic Maneuvering, and Political Order in Autocracies [University of Michigan Press, 2022])として成果を公刊した。本セミナーでは、同書の内容を元に現代独裁制の特徴を論じるとともに、そこで浮かび上がった研究課題をさらに検討すべく現在報告者が進めるいくつかの研究を紹介することを目的とする。

 冷戦後、数多くの権威主義体制が選挙を実施するようになったが、いかなる選挙を実施するのか、という点でそこには多様性がある。また、選挙が独裁体制を揺るがす因子として機能するのか、それともそれを安定化させる装置として独裁者に利用されるのか、という点においても、国ごとに大きな違いがある。こうした現代の選挙独裁制にみられる多様性の原因を一貫した視座から分析するために、多国間統計分析と中央アジアでの現地調査に基づく比較事例研究を併用した実証分析の知見を示す。また、本では十分に扱うことのできなかった3つの主要な問題、すなわち(1) 現代独裁制における第三者機関(裁判所・選挙管理委員会など)の役割、(2)独裁選挙が市民の政治認識にもたらすミクロレベルのメカニズム、そして(3) 体制側ではなく反体制側の抗議運動の論理、について現在取り組んでいる研究を紹介し、国内外での発展が著しい現代独裁制をめぐる比較政治学研究の課題を提示する。


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