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研究

社研セミナー

データ分析の妥当性
大久保将貴(社会科学研究所)

日時:2022年10月11日(火)15時~16時40分
場所:オンライン(Zoom)
参加方法:所外の方はこちらのお申込フォームからお申込ください。当日午前中にZoomのURLを送付いたします。

(申込締切日:10月10日 16:00)

報告要旨

 すべてのデータ分析は,(1)推定したい量を定義し,(2)定義された量を識別するために必要な仮定を考えて,(3)定義された量の仮定を満たすように戦略をたててデータから値を計算するという手続きに分かれる.こうした手続きを踏んだデータ分析の結果から何が言えるのかについては,しばしば内的妥当性や外的妥当性という表現が用いられる.しかしながら,データ分析の妥当性を評価するアプローチの多くは,内的妥当性を外的妥当性と切り離して捉えている.本報告では,内的妥当性と外的妥当性を別個に捉えることの問題点を指摘する.そのうえで,特定のターゲット母集団に関するデータ分析の妥当性については,内的妥当性および外的妥当性の両方を同時に評価することが重要であることを主張する.この評価の枠組みはターゲット妥当性と呼ばれ,ターゲット妥当性バイアスとは「ターゲット母集団における真の因果効果と研究標本における推定された因果効果との差」として定義される.ターゲット妥当性の枠組みでは,仮に完全なランダム化比較実験を実施した場合でも,すなわち完全に内的妥当性を担保できる場合であっても,ターゲット母集団における因果効果推定値のバイアスがないことを保証しない.本報告ではこのような例として,調査脱落や測定誤差を取り上げる.


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