研究
社研セミナー
20世紀初頭における炭鉱業の採用と管理
森本真世(社会科学研究所)
日時:2021年6月8日(火)15時~16時40分
※所内限りの開催となります。
場所:N/A
報告要旨
炭鉱業は操業当初から労務管理全般を、納屋頭(なやがしら)を中間管理者とする納屋制度とよばれる間接管理制度に依存していた。鉱業条例の施行(1892年)や1890年代以降になされた排水ポンプや捲上機(昇降式運搬機)などの新しい技術の導入とともに、企業側による直接管理が試行され始めた。20世紀初頭においては、募集および採用のほとんどは、納屋頭などを保証人とした間接採用であったが、炭鉱企業側による直接採用も1割程度行われていた。勤務管理については、「直轄納屋」が設置され、従来の納屋頭による管理からの脱却が目指され、全体の2〜3割の労働者がそこに所属した。
このように20世紀初頭は管理体制の過渡期であったが、果たして、企業による管理は成功していたのであろうか。炭鉱業の盛んであった九州・筑豊地方に地盤をおいた、地方財閥のひとつである麻生の所有した炭鉱を事例に用い、これを検討する。