研究
社研セミナー
「授業の秩序と「学級」概念の用法」
森 一平 講師(帝京大学教育学部初等教育学科)
日時:2016年 2月9日 15時00分-16時40分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)
報告要旨
学校教育において中心的な位置を占める授業という実践は、数十人もの参与者のあいだでかわされる単一の相互行為として組織される。ゆえに授業は、多数の児童・生徒たちの集合としての「学級」が教授・学習活動に向け1つにまとまっていることを基盤的な条件として要請する。しかし、「学級崩壊」や「小1プロブレム」といった言葉で問題化されてきたように(あるいはそれほどまでではないとしても)、このまとまりが崩れかけてしまうことがしばしばある。本報告では、授業のさなかで学級のまとまりが崩れかけたときに、それを単一の状態へと(再度)まとめあげていくための実践を取り上げ、エスノメソドロジー・会話分析(・概念分析)の立場から分析する。そうすることにより、そのまとめあげ実践を支える「目に見えているが気づかれない(seen but unnoticed)」技法のいくつかを、とくに「学級」概念の運用技法を中心に据えながら明らかにすることを目的とする。「学級」概念は、単に複数の児童・生徒たちの集まりを指示するだけではない。それは、授業実践に埋め込まれながら様々なしかたで運用されることで当の授業実践を支えている。本報告で紹介したいのは、その多彩な運用技法のバリエーションの一部である。