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研究

社研セミナー

日本の高校生の職業希望に関する実証的研究
多喜弘文(法政大学)

日時:2014年10月14日 14時50分-16時30分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 職業希望に関する社会学の研究は、主に社会階層論と教育社会学の分野でおこなわれてきた。前者では、本人がつきたいと希望する職業の社会経済的地位の高低が職業アスピレーションとして概念化されている。一方、後者では、必ずしも希望する職業の社会経済的地位の高低のみにこだわるのではなく、他の側面に関しても研究がおこなわれてきた。特に、日本の教育社会学では、従来の職業的な威信の次元とは独立に、自己実現に関するこだわりが高校生の職業希望を捉えるうえで有効であることが明らかにされている。

 本報告では、こうした先行研究を踏まえたうえで、複数の社会調査データを用いて日本の高校生の職業希望の特徴を明らかにする。まず、日本の高校生の職業希望の特徴を海外との比較において明らかにし、その違いを生み出している制度的コンテクストの違いについて言及する。次に、日本の高校生が希望する職業と地位達成や自己実現を重視する意識との関連についてのより詳細な検討をおこなう。その分析結果を通じて、日本の制度的コンテクストのあり方に応じた理論を考えていく必要性を述べる。

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