東京大学社会科学研究所

東京大学

MENU

研究

社研セミナー

発明者の内発的動機と職務発明制度
大湾秀雄(社会科学研究所)

日時:2010年 4月13日 15時-17時
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 近年の職務発明に対する対価請求訴訟の増加や2004年に行われた特許法第35条の改正により、発明補償制度の意義に対する関心が高まっている。発明補償制度を経済学の観点から見ると、企業側が法令順守という消極的な理由のみならず発明補償制度をインセンティブ契約と捉え制度設計を行っているか、また実際にこの制度が研究開発者の行動や成果に何らかの影響を与えているか、という二つの問題が設定できる。他方、最適な発明補償制度とは何かいう規範的な問題を考える場合、そもそも研究開発者の動機付けとしてどのような要因が働いているのかを理解する必要が出てくる。近年経済学では、行動経済学の影響もあり、内発的動機付けの役割とその形成メカニズムに対する関心が高まっている。今回の発表では、2007年に経済産業研究所が1995-2002年申請特許技術の発明者を対象に実施したイノベーションに関する発明者調査、および2005年に知的財産研究所の大西(2006)が上場企業を対象に行った発明補償制度調査からのデータを基に、以下の研究課題の分析を行う:(1)内発的動機の強さと研究開発生産性の間にどのような関係が見られるか、(2)どのようなメカニズムが上記の相関関係を作り出しているか、(3)発明補償制度がインセンティブ契約としての側面を持つ場合、金銭的報酬、内発的動機、研究開発生産性の間にはどのような関係が予想され実際にデータで確認出来るか、(4)発明補償制度には研究開発生産性を高める効果があるのか?

TOP