学術利用基盤整備班(A04)

(A04)行政記録情報の学術利用基盤整備

 本研究班では、自治体が持つ住民税を中心とした業務データを、本研究参加者のみならず多くの社会科学研究者が学術利用できる枠組みを作ることを目指す。業務データの学術利用は日本の社会科学研究の水準を大きく向上させることが期待できるが、個人・個別企業単位のパネルデータなど学術的に価値があるデータを作成しようとすればするほど、機微な個人情報が暴露される可能性が高まる。そのため、データの取扱いについて法的な検討を行うとともに、匿名性を確保するためのデータ加工を情報工学の観点から行う必要がある。バランスの取れた検討を行うためには、分析目的を十分に理解した経済学者、ルール・制度を深く理解した法学者、データ加工の技術を持つ情報工学者が、これまでの政府・関係団体・学界で行われてきた議論を踏まえたうえで、検討を行っていく必要がある。業務データの学術利用は一部の例外を除いて行われてこなかったため、新しい論点が多数あり、これらの論点を整理し、解決していくことはそれ自体が学術的価値をもつ。

 本研究班は東京大学政策評価研究教育センター(CREPE)と連携し、「EBPM推進のための自治体税務データ活用プロジェクト」のための匿名化手法の開発および実装を行う。

メンバー
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    川口大司
    東京大学大学院経済学研究科教授
    研究代表者
  • 正木祐輔
    正木 祐輔
    東京大学公共政策大学院特任准教授 
    独立行政法人経済産業研究所コンサルティングフェロー
    (総務省から神戸市へ派遣中)
    研究分担者(採択時)⇒研究協力者


  • 宍戸常寿
    宍戸 常寿
    東京大学大学院法学政治学研究科教授
    研究分担者
  • 佐藤一郎
    佐藤 一郎
    国立情報学研究所情報社会相関研究系教授
    研究分担者
研究協力者
  • サムットプラディット サイサワット
    大阪大学大学院経済学研究科 講師
  • 鳥谷部 貴大
    一橋大学経済学研究科 講師

 本プロジェクトでは、匿名化を行っているものの、個人単位の自治体データを扱うため、個人情報保護等に万全を期す必要がある。本研究班では、法学者を中心とする法学班を設け、個人情報保護法や地方税法をはじめとする法的検討を専門的に行っている。

法学班(研究協力者)
  • 小川 亮
    國學院大學法学部 専任講師
  • 海道 俊明
    関西大学大学院法務研究科 准教授
  • 神山 弘行
    東京大学大学院法学政治学研究科 教授
  • 亀川 達哉
    東京大学大学院法学政治学研究科 博士後期課程
  • 北山 昇 
    弁護士(森・濱田松本法律事務所)
  • 宍戸 常寿(班長)
    東京大学大学院法学政治学研究科 教授
  • 巽 智彦
    東京大学大学院法学政治学研究科 准教授
  • 平田 彩子
    東京大学大学院法学政治学研究科 准教授
  • 藤谷 武史
    東京大学社会科学研究所 教授
  • 船渡 康平
    信州大学経法学部 准教授
  • 正木 祐輔
    東京大学公共政策大学院 特任准教授
  • 山羽 祥貴
    東京都立大学法学部 准教授

 これまで本プロジェクトの実施により、多くの分析結果を自治体にフィードバックし、一定の成果を生み出しつつある。一方、政策現場におけるEBPMを推進するためには、自治体にとってより付加価値の高い成果を創出する必要がある。学術利用基盤整備班では、EBPM企画班を設け、EBPMを主とした自治体への付加価値提供を目的に、様々な活動を行っている。 具体的には、自治体ヒアリング等を通じたデータ分析ニーズ調査、データ分析研修などの人的支援、様々なデータ活用による発展的分析といった取組を検討している。

EBPM企画班
  • 福田 隆巳
    東京大学大学院経済学研究科 特任研究員
  • 細田 幸恵
    東京大学政策評価研究教育センター 招聘研究員
  • 正木 祐輔
    東京大学公共政策大学院 特任准教授
  • 由本 聖(班長)
    東京大学公共政策大学院 特任准教授