所得リスク・格差班(A01)

(A01)税務データを活用した所得リスクと所得格差の分析

 望ましい経済政策を模索するには、個人が直面している経済的リスクや格差の構造を詳細に把握し、どのような手段でリスクを緩和し厚生を改善できるかを分析することが鍵となる。これまでの研究では政府や研究機関による聞き取り調査に基づくサーベイデータを使った分析が中心であったが、この10年余りの間に欧米を中心とする各国で行政機関の業務データを用いた分析が飛躍的に発展した。サーベイデータによる分析でも平均的な所得の変化や大まかな属性によって異なる値の推移は把握できるものの、貧困層や富裕層といった所得分布の両端に属する人々の経済活動を精緻にとらえることは容易ではない。格差問題の解決策や、貧困に関わる政策を分析するには、こうした層の経済状態を精緻に把握することが重要である。本研究では、地方自治体が保有する行政記録情報である税に関する『業務データ』を用いて、属性の異なる様々な個人が直面するリスクを精緻に分析し、経済リスクのもたらす厚生損失や政策効果を数量分析する。

メンバー
  • 北尾早霧
    北尾 早霧
    政策研究大学院大学教授
    研究代表者
  • 鈴木通雄
    鈴木 通雄
    東北大学大学院経済学研究科准教授
    研究分担者
  • 山田知明
    山田 知明
    明治大学商学部教授
    研究分担者