社研セミナー

 「政教分離と法人をめぐってー1906~1907年のサレイユー」
齋藤 哲志(社会科学研究所)

日時:2017年1月10日 15時00分-16時40分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 19世紀末葉から20世紀初頭にかけて仏民法学・比較法学を牽引したレモン・サレイユRaymond Saleilles(1855-1912)を扱う。周知のとおり、彼が活躍した時代は、フランスにおける私法学の転換期、すなわち科学学派école scientifiqueの叢生期に当たり、我が国でも同時代において既に大きな注目を集めていた。とりわけ、最晩年の大著『法人格についてDe la personnalité juridique』(1910年)が、法人学説の日本ヴァージョンを陰に陽に規定してきたことが指摘される。もっとも、同書が有する独特の、あえていえば奇妙な構造は等閑に付されている。
 本報告は、近時の諸研究を踏まえながら、第三共和政期の政教関係をめぐる危機的状況との照応により、彼の法人論に固有の陰影を描出するよう試みる。具体的には、社団法人associationを教会財産の帰属主体とした政教分離法(1905年)を論難し、比較法を通じて最適解を模索する一般向け講演「政教分離の法制度Le régime juridique de la séparation」(1907年)を起点に据える。世俗のprocatholique法学者としてのサレイユの構想は、新たな政教関係下での旧制度の温存を目論むものであったが、賛同者を見出すことなく挫折を余儀なくされた。その所以を探ることで、法人概念(さらには所有権概念)を把握し直す機会としたい。

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