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寄付研究部門運営委員会

 

◆◇◆2007年度研究計画◆◇◆

㈵.定例の活動予定

1.人材ビジネス研究会
 隔月で、人材ビジネス研究寄付研究部門の研究委員を集めた研究ミーティングをひらき、調査研究の内容や進捗状況、活動方針などについて、報告や議論、取り決めをおこなう。

2.人材ビジネス研究会作業部会
若手研究者の調査研究のサポートを主な目的として隔月で開催し、調査研究の内容や進捗状況、活動方針などについて、報告や議論、取り決めをおこなう。


㈼.継続中および実施予定の研究プロジェクト

1.日本の人材ビジネスの機能と構造に関する総合的研究(継続)

担当:佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、佐野嘉秀(東京大学社会科学研究所客員准教授)、堀田聰子(東京大学社会科学研究所助教)、藤本真(労働政策研究・研修機構研究員)、阿部正浩(獨協大学経済学部准教授)、今野浩一郎(学習院大学経済学部教授)、佐野哲(法政大学経営学部教授)、石原真三子(ポンペウ・ファブラ大学経済学部客員研究員)

概要:
人材ビジネスをその機能の側面から分類すると、大きく、(a)情報の提供、(b)マッチング、(c)労働サービスの提供、(d)教育訓練の4つに分けることができる。このうち、(a)情報の提供の機能については就職情報誌ビジネス、(b)マッチングについては職業紹介ビジネス、(c)労働サービスの提供については人材派遣・請負ビジネス、(d)教育については教育ビジネスが、それぞれ主として担うかたちで発展してきた。このような人材ビジネスの諸機能やそれらの相互関係、各機能に対応した人材ビジネスの現状や課題について、総合的に分析しとらえることを課題とする。

【2007年度の予定】:人材ビジネス企業を対象としたアンケート調査を実施する。

2.企業グループ内人材ビジネス企業の役割(継続)

担当:高橋康二(東京大学大学院・麗澤大学外国語学部非常勤講師)

概要:
企業グループ内の人材ビジネス企業が、企業グループ内でどのような役割を果たすかをあきらかにする。とくに、イ)企業グループ内人材ビジネス企業が、自社グループ内のユーザー企業に対して果たす、グループ外の人材ビジネス企業とは異なる役割や、ロ)企業グループ内人材ビジネス企業が、企業グループ内の人材の効率的な利用や円滑な移動について果たす役割の解明をこころみる。

【2007年度の予定】:調査研究結果の取りまとめ。

3.登録型派遣における派遣先と派遣元による人事管理の連携(新規)

担当:島貫智行(山梨学院大学現代ビジネス学部専任講師)

概要:
登録型派遣労働者の人事管理におけるユーザー企業(派遣先)と派遣会社(派遣元)の連携のありかたを検討する。より具体的には、派遣先と派遣元のあいだで、どのような人事管理の連携が行なわれているのか。また、そうした派遣先と派遣元の人事管理の連携には、どのようなパターンが見られるのか。人事管理の連携パターンの違いは、なぜ生じるのかなどをあきらかにする。

【2007年度の予定】人材派遣会社の営業担当者やコーディネーターおよび派遣先の職場管理者や人事担当者へのインタビュー調査を実施する。

4.人材派遣業における営業職の人材育成(新規)

担当:木村琢磨(大阪経済大学経営学部専任講師)、鹿生治行(高齢・障害者雇用支援機構情報研究部研究開発課常勤嘱託)、山路崇正(東京大学大学院)

概要:
人材派遣会社において従業員の多くを占める営業職員に焦点を当て、人材派遣会社における人材の育成と定着化について考察する。本研究では、営業職員に関し、求められる役割と能力、技能形成に有効な経験と教育訓練、勤続意欲の変化とその要因を明らかにする。

【2007年度の予定】人材派遣会社および営業職員を対象としたインタビュー調査を実施する。営業職員へのアンケート調査も実施する。

5.製品設計業務における人材活用と派遣技術者のキャリア(継続:名称変更)

担当:佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、佐野嘉秀(東京大学社会科学研究所客員准教授)、高橋康二(東京大学大学院・麗澤大学外国語学部非常勤講師)、山路崇正(東京大学大学院)、東秀忠(東京大学大学院)

概要:
相対的に高度な専門的知識や技能を必要とする外部人材の活用実態やキャリアの状況を把握するため、製品設計に従事する派遣技術者をとりあげ、その製品設計部門での活用や管理の実態、人材ビジネス企業による人事管理の状況、派遣技術者のキャリアの実態や意識をあきらかにする。

【2007年度の予定】:製造企業および技術者派遣企業へのインタビュー調査、派遣技術者へのアンケート調査およびインタビュー調査を実施する。

6.生産現場における人材活用と人材ビジネス(継続)

担当:佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、佐野嘉秀(東京大学社会科学研究所客員准教授)、藤本真(労働政策研究・研修機構研究員)、木村琢磨(大阪経済大学経営学部専任講師)

概要:
イ)生産現場における請負スタッフや派遣スタッフなど外部人材の活用実態や、活用に関する製造企業の方針、製造企業にとっての活用の効果、ロ)生産業務の請負事業や派遣事業を営む人材ビジネス企業の事業戦略と人事管理の実態、ハ)生産業務の人材ビジネス企業の現場管理者・リーダーの役割や、請負・派遣スタッフのキャリアの実態をあきらかにする。以上をもとに、生産現場における外部人材の適切な活用や人事管理、人材ビジネス企業がとる多様な事業戦略とそれに対応した人事管理、生産現場におけるユーザー企業と請負企業とのあいだの連携、請負スタッフのキャリア形成支援のあり方について検討をおこなう。

【2007年度の予定】:イ)に関して、製造企業に対するインタビュー調査およびアンケート調査を実施する。

7.コールセンターの人事管理(継続)

担当: 仁田道夫(東京大学社会科学研究所教授)、前浦穂高(立教大学経済学部助教)、中道麻子(早稲田大学大学院・早稲田大学産業経営研究所助手)

概要:
外部人材をふくめ多様な就業形態での人材活用がすすむコールセンターをとりあげ、そこでの労働や人事管理、労使関係の実態についてあきらかにする。それにより、多様な人材を活用する職場での労働や人事管理の労使関係の実態についての理解を深めるとともに、そうした職場における効果的な人事管理のあり方について検討をおこなう。

【2007年度の予定】:コールセンター従業員に対するインタビュー調査およびアンケート調査を実施する。

8.中国におけるソフトウェア開発企業・コールセンターの人材活用と人材ビジネス(新規)

担当:田嶋俊雄(東京大学社会科学研究所教授)、古谷眞介(東京大学社会科学研究所研究機関研究員)、御手洗大輔(東京大学大学院法学政治学研究科)

概要:
日本におけるソフトウェア技術者の不足や企業等における戦略的アウトソーシングの展開に伴い、海外においても日系・現地系の人材ビジネスが発展するとともに、日本への技術者派遣を担う企業も増加しつつある。近隣に位置する中国の場合には漢字文化圏に属し日本語を解する人材の層も厚く、ソフト開発のみならずコールセンターやデータ入力などの人材ビジネスも展開している。本研究では中国における人材ビジネスを含む海外向けアウトソーシング・サービスの現状と人事管理、セキュリティ対策、ユーザー企業と人材ビジネス企業との間の調整問題、産学連携による人材供給等について実態把握に努めるとともに、中国内陸地域における拠点形成の可能性について、東アジアにおける国際分業の深化と経済的な一体化傾向を踏まえて検討を試みる。

【2007年度の予定】前年度に実施した日本における中国人派遣技術者へのインタビューおよび中国大連市での調査に続き、海外向けアウトソーシング・サービスの先進地である北京市、上海市、さらには新興地域である内陸部の西安市、武漢市、成都市において企業調査を実施し、人材供給を含むインフラ整備や産業集積の現状、人材管理および工程管理上の問題点を検討する。

9.企業における人材確保の多様化と人材ビジネスの役割(新規)

担当:佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、佐野嘉秀(東京大学社会科学研究所客員准教授)、堀田聰子(東京大学社会科学研究所助教)、中道麻子(早稲田大学大学院・早稲田大学産業経営研究所助手)

概要:
定着と能力開発促進に向け、企業における人材確保策が多様化している。紹介予定派遣、トライアル雇用、デュアルシステム、インターンシップ、正社員登用、非労働力化した女性の再雇用といった方策の広がりの背景と位置づけを理論的に整理するとともに、特に紹介予定派遣を導入した企業をとりあげ、配属や能力開発の新卒及び他の中途採用者との比較に留意しながらその活用実態と課題、派遣企業に求められる役割を明らかにする。

【2007年度の予定】人材確保の多様化にかかる既存調査の個票データの再分析、アンケート調査を実施する。

10.介護事業における多様な人材活用と人材ビジネス(新規)

担当:堀田聰子(東京大学社会科学研究所助教)、佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、鈴木亘(東京学芸大学教育学部准教授)

概要:
人手不足感の高まりのなかで、介護職の定着と継続的な能力開発を可能にする法人の経営戦略と雇用管理のあり方が模索されている。そうしたなか、介護事業における派遣などを含めた多様な人材の活用が進んでいる。イ)良質なサービスを効率的に展開できる介護事業者の経営戦略と雇用管理のモデルを検討したうえで、ロ)特に介護事業者における人材戦略に着目し、派遣などを含めた多様な人材活用の実態とその背景、課題を整理するとともに、ハ)介護職の派遣をおこなう派遣企業の現状と今後の可能性を把握する。さらに、ニ)介護職におけるキャリアの複線化の実態と意識をあきらかにする。

【2007年度の予定】既存調査の個票データの再分析と収集事例の整理、派遣などを活用する介護事業者及び介護職の派遣をおこなう派遣企業に対するインタビュー調査を実施する。

11.訪問介護職の能力開発とサービス提供責任者の役割に関する研究(継続)

担当:堀田聰子(東京大学社会科学研究所助教)、佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、大木栄一(職業能力開発総合大学校准教授)

概要:
訪問介護サービスに対する質量ともに高まるニーズに柔軟に応えるためには、良質な介護職の確保・育成が重要との観点から、イ)訪問介護職に求められる職業能力を多面的にあきらかにするとともに、特に訪問介護サービスにおける現場管理者であるサービス提供責任者の役割に着目し、ロ)訪問介護職の能力開発を促進する管理職のあり方を分析する。

【2007年度の予定】:訪問介護事業者との検討会を実施し、調査研究結果をとりまとめたうえで、普及のためのセミナーを開催する。釜石市において利用者、ケアマネジャー調査をもとに訪問介護事業者向けのセミナーを開催するとともにサービス提供責任者に対するインタビューをおこない、その結果をとりまとめる。

12.その他

新規のプロジェクトが追加されることもありうる。


㈽.研究成果の予定

1.刊行物

イ)『東京大学社会科学研究所人材ビジネス研究寄付研究部門研究シリーズ』。部門の研究成果は、研究シリーズとして刊行する。研究シリーズに掲載する論文は、部門として査読をおこなったうえで刊行する。
ロ)『東京大学社会科学研究所人材ビジネス研究寄付部門資料シリーズ』。資料的性格をもつと判断される部門の研究成果は、資料シリーズとして刊行する。
ハ)その他の刊行物。プロジェクト参加者は、研究シリーズないし資料シリーズを執筆後、そのデータを利用した研究成果を個別に各種学術雑誌などの媒体をつうじて公表可能とする。ただし、その際には、人材ビジネス研究寄付研究部門のプロジェクトの成果であることを明示することとする。

2.研究成果の発表会
 10月24日に、研究成果の発表会を開催する。ひろく経営・労働関係の研究者や、人材ビジネス企業および人材ビジネスの活用企業等の関係者を招待する。研究委員が担当プロジェクトの研究成果を発表するとともに、出席者と議論をふかめる。

3.部門のホームページの改訂
 部門のホームページについて、最新の活動内容や研究成果の概要を公表すべく順次、改訂していく。

4.その他
 大量サンプルのアンケート調査を実施した場合、研究成果が刊行された後に、調査データを社研のSSJデータアーカイブに寄託する。


㈿.人材ビジネスに関する教育活動

1. 東京大学経済学研究科での授業
 
東京大学の経済学研究科において、大学院生を対象とするゼミナール形式での授業をおこなう(佐藤博樹・東京大学教授と佐野嘉秀・東京大学客員准教授が共同で担当)。

2. プロジェクトへの若手研究者の参加
 部門の調査研究プロジェクトには、大学院生など、人材ビジネスにかかわる研究に関心をもつ若手の研究者を積極的に参加させ、先輩研究者のアドバイスや、調査遂行にかかわる経費の援助のもと、調査研究を実施させる。そうした活動を通じて、若手の研究者に、調査研究のOJTの機会をあたえ、調査研究にかかわるノウハウやスキルを習得させるとともに、研究者あるいは人材ビジネスの実務の方々との人脈をひろげさせる。それにより、人材ビジネスの研究を今後担っていく若手の研究者の育成をはかる。


㈸.海外の人材ビジネス研究者・機関との交流
 
 米英独をはじめとする諸国で人材ビジネス研究をおこなう研究者や調査機関等と、情報交換などの交流をふかめる。それにより、諸外国の人材ビジネスの現状に関する確かな情報を収集する。また、日本の人材ビジネスの現状について、海外の研究者等による理解を深める。さらに、人材ビジネスに関する国際的な研究のためのネットワークをつくる。

 




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