財団法人資訊工業策進会 資訊市場情報中心

1996年9月11日

 

台湾の情報産業の発展についてプレゼンテーション

 印刷資料を参照

 

NIINational Information Infrastructure)プログラム

 が進められている。かつてはVideo on demandが焦点になっていたが,インフラ整備が大変なので,今はElectronic Commerceに集中している。行政院のもとに資訊推動小組を作ってNIIを推進している。

 また空港に置けるAutomatic Customs Clearance Systemを実施し,通関を7日から30分に短縮した。

 

台湾の情報産業の急成長により,1996年にはノートパソコンでも日本を抜く。

台湾はLCDの世界最大の消費地となった。ある日本メーカーのLCD輸出の40%は台湾向けとも言われる。

 台湾のマザーボード,パソコンが強い理由は:

 中小企業中心で会社がフレキシブル,ショーがあれば社長が必ず出向いて開発の方針を決める。商品開発が日本の3分の2の速さで行われる。人材が豊富。電子関連の学生が多い。家電が弱い分,情報産業に人材が集中。アメリカで高いポジションにあった人も帰国してきた。最近はアメリカで博士号を取ると,情報,航空,通信などビジネスチャンスに富んだ台湾にすぐ帰ってくるというケースも増えている。

 

 マザーボードを作る台湾メーカーの付加価値は3%ぐらい。資本金が年に12回開店する。昔はコスト競争だったが,今は技術力で勝負している。技術力は人の移転によって大きく変わる。GVCからは40人ぐらい他社に移ってしまうという事件もあった。

 華碩(Asus-tech)の優れている点は品質が安定して,設計を失敗した製品というものを出したことがない。故障も少ない。値段は高いが高レベルを維持していることにある。Asusは高いのでODM,OEM需要が全然なく,すべて自分の力で売っている。

 マザーボードにおける競争力とは,回路設計力,部品についての理解などに依存する。Asusはエイサーから出てきた。インテルはAsusと提携したいので最新情報をまずAsusに提供している。そのためAsusはいつも真っ先に新しい規格に対応した製品を出せるのだ。Asusは製品が失敗したケースがない。

 

 精英は同じくエイサーから出てきた技術力あるメーカーだが,CDROMへの進出が失敗し,経営があやしくなってきた。

 

 マザーボード製造は機械化が進んでいて労働コストが安いので,中国大陸に進出するとしたら以前の世代のものを作る場合である。マザーボードは軽いのでどこへでも持っていける。モニターはそうはいかない。モニターはヨーロッパ,メキシコなど消費地に近いところで生産した方が輸送費の節約になるが,ボードはどこでもいい。台湾のモニター生産は最初台湾,次に東南アジア,中国へ移転し,今はさらにアメリカなど市場の近くに移転している。

 

 またMitacmanulogisticsといっている。Compaqとの提携により,コンパックから5日以内に納入するよう言われているのでアメリカ以外で組み立てていたら間に合わないので,マザーボードを台湾で作ってアメリカでパソコン組立をやっている。現在は業界全体がそうした方向にある。

 ノートは台湾で組み立てても輸送コストはさほど大きくならないが,発熱問題など技術面ではやや難度が高い。韓国にはパソコンでは競争力がないが,モニターでは台湾と競争している。台湾にはCRTがないが,台湾は東南アジア,中国で組み立ててコスト競争力をつけている。韓国もCRTを中国,東南アジア,メキシコで作って競争力を付けようとしている。2~3年後にはもっと競争が激しくなる。台湾は韓国よりスピードは速いが企業規模では負ける。モニターは製品のサイクルがパソコンよりも長いので速さだけでは競争できない。

 また2000年にはデスクトップの15%がLCD化すると予測している。台湾ではZenbao,Shinbao,CTXといった会社がLCDを開発中だ。台湾は64KDRAMを作るだが,技術よりも量産効果を狙うだろう。2000-2005年には台湾は半導体生産大国になるが,量産品に焦点を当てる。台湾にはDRAM技術が元はなく,DRAMには様々な特許がある。

 

台湾のパソコン産業では大企業による中小企業の淘汰が進み5年後には大グループが中心になる。小企業は今頼るべき大企業を探している。開発力,資金力の関係から,パソコンは月1~2万台ぐらい組み立てないとスケールメリットがでない。それ以下の小さな会社はつぶれる。ノートPCめーかーは50社から10数社に減った。エイサーは月4~5万台で最大だ。