小金県の住民の多くは、標高3000メートル前後の高地に住む貧困世帯である。(チベット族が多い。)県政府は、貧困対策として道路などのインフラ建設を進めたいが、高地に分散している人々のもとにライフラインを引くのはコストがかかる。そこで、県政府は住民達を便利なところに移住させる政策をとっている。移住先の住宅を便利なところに建設している。
写真に映る斜面にへばりついた10軒ほどの家が、「便利なところ」に新設された移住者向け住宅なのである!
小金県の高地に住む人々にとって貴重な現金収入源となっているのが松茸である。中国では松茸はそれほどポピュラーな食べ物ではなく、もっぱら日本、そして一部韓国に輸出される。朝3000メートル級の高地で採取された松茸は午後には仲買人に売られる。仲買人は買い集めた松茸を夜11時発のトラックに載せて成都に運ぶ。翌朝成都についた松茸は通関手続きを済ませ、東京行きの航空便に乗り、午後には日本に着く。
小金県の県城(県の中心にある町)の周りの山々にはちゃんとした木が生えていない。長年の乱伐により山はすっかりはげ上がり、表土が流れてしまい、木が根付かなくなってしまった。
平地の少ない小金県では山の急斜面にわずかながらの段々畑を開墾して、口を糊してきた。しかし、急斜面の開墾は森林破壊をもたらした。
森林破壊をもたらす斜面の開墾に替えて、「経済林」への転換が進められている。小金県の政府が最も期待をかけているのがワイン用ブドウの栽培である。写真はカベルネ・ソービニオン種の畑だ。ワイン会社が保有する土地を農民に貸し出して耕作させている。農民がブドウの木の間に大豆を植えている。
県城の様子。河岸の崖にへばりつくように住宅が建てられている。この町には、長征の途上で紅軍が立ち寄って会議を開いた址がある。その頃は木がうっそうと茂っていたのだろうか。

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