美利達工業(股) メリダ

1996年9月13日

 

VTR

1972年に創立

 91年カーボン,グラスファイバーMTBを開発。94年にオリンピック自転車指定メーカーとなる。92年に自転車メーカーとして初めて上場。93年に中国に工場を設立。ドイツ,日本,香港,中国に支社を有する。

 

工場見学:

展示室:カーボン一体成形車。ブリジストンと協力して作った製品は金賞をとった。この自転車は設計図はメリダ側で書き,日本ではブリジストンブランドで売る。主として日本向け。アルミ接着から,溶接に変えた。それによって大きさなどを柔軟に変えることができるようになった。電動車は自社で開発した。

設計部門:製品設計(工芸デザインなども含む),金型の2部門に分かれ,50人。学歴は専科以上。大卒,修卒もいる。

 ブレーキはシマノ製を多く使っている。元は台湾が多かったが,今は半分がシマノで半分が台湾。特定の部品についてはその部品メーカーも自転車の開発段階に参画することがある。新産品共同開発検討会を製造,設計,試作の各部門が集まって開いて,設計したものに対して製造,試作部門の方から意見をいってもらう。

 自転車はクロムモリブデンからアルミ合金に転換中。アルミ車は1昨年8千台から去年は8万台,今年は20万台と急拡大。接着方式から溶接方式に変えた。

 アルミ溶接部門は,台湾人労働者がやりたがらないので,タイ人労働者を導入している。外国人労働者は全工場に80人いる。アルミ材は一部は輸入し,大部分は台湾で調達。外国人労働者導入に対しては規制があるので,今後アルミ溶接のロボット化を図っていきたい。

 輸入部品は45日分ぐらいの在庫を置いている。輸入部品のみ自動倉庫システムにはいっている。輸入部品については部品メーカーに発注が集中することがあるので多めに買っておいている。国内部品は2週間分以内の在庫。自動倉庫ではない。

 クロムモリブデン車の方は,溶接を経験のある台湾人労働者がやっている。アルミとは溶接のやり方が違い,アルミの方がハード。

 現在クロムモリブデン車2に対してアルミ車1の割合。来年は1:1にする。

 アルミ溶接の技術は簡単な作業は40日で習得でき,ふつうのフレーム溶接ができるようになるには2カ月,通常スピードになるには3カ月かかる。

 静電塗装は自動化が進んでいる。

 1人の労働者が3種類の工程をやるようにローテーションしている。力仕事は男が多い。汚い仕事はおばさんが多い。

 3本のラインがある。フレーム,塗装,溶接,組立,すべて3本ずつある。

 正常時のタクトは28秒である。

 リムの成形機は1人の女性工が4台の機器を担当している。

 ここ数年は労働者を集めるのがわりと容易になった。

 カーボン車のラインがさらに1本あるが,今は稼働していない。カーボン車への需要が少ないので他社へのOEMに出している。カーボン車ラインの労働者は訓練して他のラインに回している。

 

質疑応答:

別紙質問回答表を参照せよ。

 OEMはアメリカからの受注が70%で,主にSchwinn,Specialize,Mongooseから。日本はブリジストンから,欧州はScott

 設計は相手方が設計する場合(特にアメリカ),相手方はアイディアを出して当方が設計してサンプルを出して意見を聞くというやり方(特に小さい会社)がある。

 OBMは自社で設計する。

 

 市場は欧米で在庫がたまっている。需要が15~20%減少した。そのため台湾の業界が全体として落ち込んでいる。最終的にはOBM40%を目指しているが具体的にいつまでとはきめていない。40%以上OBMというのは無理だ。

 市場情報は,主要顧客がアメリカで10指に入る企業なので,彼らが市場の状況をよく知っていて教えてくれる。この情報を欧州向けの自社ブランド製品輸出に応用する。日本市場についてはブリジストンを通じて情報を得ている。

 深せんに工場がある。大陸では60万台生産している。主としてアメリカに輸出し,中国国内は3分の1。部品は広東付近で台湾資本の部品メーカーから主として調達。アルミ合金など価格の高いものを輸入している。変速機はシマノのシンガポール工場から。

 台湾で受注して,FOB130ドル以下は大陸で生産し,それ以上は台湾で作るというように分業している。ただ欧州市場は大陸からだとアンチダンピング34%がかかるので台湾から輸出する。オーストラリアへは逆に台湾から輸出が難しいので大陸から輸出。

 台湾工場は輸入部品を40%使い,うち日本が85%。シマノの変速機とギアクランク,アロイ・リム,クロモリパイプ,アルミパイプ,ブレーキなど。

台湾部品が60%。100以上の部品メーカーと取り引きし,タイヤ,サドル,ハンドルなど。

 部品の設計は:10年前にはアメリカの会社が完成車メーカーに設計図,アイディアを提供し,それを完成車メーカーが部品にメーカーに伝えていた。今はアメリカの会社が部品メーカーに直接アイディアを提供するようになった。部品メーカーの設計能力が高まったからである。これは台湾一般の傾向である。部品メーカーは生産の50-60%を欧米に直接輸出しており,そこから技術を導入している。

 製品差別化:

 国際的な展覧会に参加。新開発製品を重要なショーに出品,国内の競技会に参加したり,協賛したり。外観設計。市場の動向に応じて製品を変える。

 

 欧州に組立工場を立てる予定である。そこへフレームを大陸から持っていく。当社はもともとオートバイを作っていた経験があるので,溶接技術にはよいものがあった。それを利用している。

 日本はむやみに安い自転車を輸入しないで欲しい。大陸から直接安かろう悪かろうの自転車を輸入しているがPL法を活用して防いでほしい。

 ヨーロッパでは代理商に自主権がある。