地理情報システム(GIS)を使った産業集積研究

1.動機
 私が中国の産業集積に関心を持つようになってからもう7、8年経つが、論文を書きながら、また先達の研究を読みながら、常にもどかしく思うことは、同業の工場、あるいは商店が狭い地域に何十、何百と集積していることそのものの迫力を、その場所を見たことのない人に伝えることが難しいことだ。授業や講演であれば、パワーポイントを使って写真を見せたりもするが、1枚の画面に「集積」をとらえることは難しい。たいていは集積の断片しか画面に収まらない。まして「社会科学的研究」となれば、その表現手段は、今でも半世紀前と変わらず文章、単純な図や表、数式に限られるため、空間的な存在である産業集積を表現することは難しい。
 他方、人類は昔から空間的事象を表現するために二次元平面にそのモデルを作る、つまり「地図を書く」という表現手段を持っていた。地図作りは従来はその道の専門家の仕事だったが、地理情報システム(GIS)のソフトウェアが整うことによって、今や誰でも参入できるようになった。
 私も数年前から無料GISソフトMandara(埼玉大学教育学部・谷謙二先生が開発・公開)を利用していろいろな地図を描くようになったが、このほど有料GISソフトArcViewの購入を機に、地図作りの悪戦苦闘ぶりを公開することで、この道に参入する同学の士が少しでも増えるようにしたい。

2.公開方法
 地図はArcViewで作成し、画像ファイルに出力したものである。そのため、閲覧はできるが、その地図を操作することはできない。その代わり、地図作成のために私が作ったデータファイルをCSV形式でアップロードする。このCSVファイルと、無償公開されている地図データとを、GISソフトを使って結合することによって、操作できる地図を再現することが可能になる。

3.地図とデータ

九州・自動車関連工場立地マップ(HTML) 九州・自動車関連工場立地データ(CSV) 2008年2月15日作成

中国県別人口密度地図(HTML)