コラム

社会科学分野エディターJames Babb先生着任インタビュー

本年4月より、英文図書刊行支援事業(社会科学分野)のために社会科学研究所に着任されたDr. James Babbにお話を伺いました。



------ 今回、東京大学で英文図書刊行支援体制が整備された理由はなんでしょうか?

Babb先生:現代の世界は、英語によってつながっていると言っても過言ではないのではないでしょうか。特に学問の世界では、英語による発信が非常に重要です。東京大学の教員は、英語が話せる、書けるにも関わらず、あまり英語による書籍の出版を行わないというのが私の印象です。東大の教員による英語書籍の出版が増えることは、もちろん大学イメージやランキングなどにも貢献するでしょうが、執筆者の先生方にとって、研究者としてもメリットが多くあります。ご自身の研究分野での知名度も上がるでしょうし、学内での評価にもプラスの影響を及ぼすかもしれません。世界に目を向けてみると、その道のトップと言われる研究者は、歴史学、文学ではもちろん、経済学、法学においても必ず英語で書籍を出版しています。

世界の一流の大学出版局が、東京大学の研究者の手による英語書籍の出版に興味を持っています。欧米の研究者だけで学問を動かす時代はもう終わりました。非欧米圏出身の著者に対するニーズが高まる中で、日本、特に東京大学の研究者が果たすべき役割は大きいのです。我々とともに、一流出版局の手を借りながら、みなさんの素晴らしい研究を世界に発信していきましょう。

------なぜ雑誌論文や寄稿記事という形ではなく、書籍化が必要なのでしょうか?

Babb先生:書籍は研究者の生命、魂を長く後世に伝えていくことができるからです。この英文図書刊行支援事業(UT-IPI)では、例えみなさんが亡くなった後でも、何十年も何百年も読まれ続ける書籍を残していきたいと思っています。

私自身の出版の話ですが、西洋政治思想史、東洋政治思想史、イスラム政治思想史にインド、アフリカなどの政治思想を加えて初めての世界政治思想史の本を出版しました。学問のためはもちろんですが、私の子や孫、まだ見ぬ未来の知識人に知の遺産を残したかったのです。

本事業は、東京大学の研究者の長年に渡る、他では決して見ることのできない研究をまとめ、後世に伝える物語を作る貴重な機会だと考えています。

------ 英語での書籍化を検討されている東京大学のすべての研究者の方へ

Babb先生:東京大学での英文図書刊行支援は大きなチャレンジではありますが、成功への道筋が見えています。このような難しい挑戦は私の得意とするところであり、私には幸いなことに本事業に欠かすことのできない英文エディターというポストにふさわしい経験と能力があります。皆さんと一緒に書籍作りを行うことを大変楽しみにしています。