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ガバナンスを問い直す ― 5月21日国際シンポを手がかりに

報告要旨

 5月21日に国際シンポ「ガバナンスを問い直す」を開催した趣旨は、ガバナンスについて改めて理論的・経験的に検討し、これまでの活動を通じて得られた知見を出版に向けて整理し総合していく手がかりとすることだった。ゲストスピーカーとして招いたのは、ガバナンス理論、ガバナンスとジェンダー・多様性、コーポレート・ガバナンスに関する専門家である。ゲストスピーカーが共通して強調したのは、ガバナンスがきわめてローカルなものであり、その意味は社会により、時代や人によっても、異なっていて、多様で偶発的(contingent)である、という点だった。
 また、ガバナンス論が1970年代末くらいから多発的に展開してきた背景につき、Dr. Bevirがとくに重要な指摘をおこなった。すなわち、固有名詞としての「new governance」と一般的概念としてのガバナンスを明確に区別し、ニュー・ガバナンスをmodernist social scienceの展開という歴史的パースペクティブの中に位置づけることである。
 本報告では、国際シンポの準備・実行を通じて得られた知見を手がかりに、ガバナンスの一般的な定義とその操作化、生活保障にそくした場合のプロセス、災害ガバナンスなどを検討する。また、従来の社研の全所的プロジェクト―1980年代前半の「福祉国家」、1980年代後半の「現代日本社会」、1990年代半ばの「失われた10年?」、2000年代半ばの「希望学」―を振り返りながら、ガバナンス概念の有効性を考えたい。

          
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