研究活動
プロジェクトセミナー
科学技術ガバナンスの課題
- 報告者: 城山英明 (東京大学大学院法学政治学研究科)
- 日時:2012年12月18日 15時-16時30分
- 場所: センター会議室(赤門総合研究棟5F549号室)
- 対象:学生・院生・教職員
報告要旨
現代社会は科学技術の発達に伴う様々な便益を享受するとともに、安全・環境上の様々なリスクなどの課題に直面している。そして、それらのリスクは様々な形で相互連関している。さらに、便益や課題の見え方はアクターの立ち位置によって大きく異なる。科学技術の世界は分野別の縦割りが強く、分野によっても見える姿は異なる。また、科学技術には不確実性が不可避であり、予測の必ずしも容易ではない多様な社会的目的のために利用可能である。他方、科学技術に関わる知識生産を促すためには、研究の自由の確保等の仕組みが必要になる。また、科学技術のイノベーションと社会のイノベーションも密接に関連しており、科学技術を社会に導入する際には移行マネジメントが重要になる。
このような多様な可能性と課題を伴う科学技術を社会がマネジメントしていく際の仕組みについて、ガバナンスという観点から検討したい。そもそも、社会的判断を行う際には、どのような相互連関やトレードオフ取り組む必要があるのか、様々な分野の専門家、様々なレベルの政府(国際組織、国、地方自治体)、様々な団体(専門家団体、事業者団体等)や市民といった多様なアクターがどのように相互作用が行われるのかが重要な視点となる。その際、様々な具体的ないくつかの現場の事例に即して、安全リスク(safety)、環境リスク(environment)、安全保障リスク(security)、倫理的配慮、研究の自由の確保といった多面的観点から検討したい。