研究活動

プロジェクトセミナー

「再生産」のガバナンスと日常生活の再編成 ― 日本の場合

報告要旨

「再生産」は、政治経済学にとっては歴史的に古くから存在し、また基本的な問題である。実際、国家、そして国際政治経済が維持され、発展していくためには、「生物学的」、「経済的」、そして「社会‐政治的」なレベルを横断する「再生産」プロセスが、相互に密接に連関しながら継続していくことが肝要であり、このため、時代状況によってやり方こそ変化してきたものの、重層的な「再生産」に「配慮」することは、各国の政府にとって、長い間、重要な職務であった。にもかかわらず、主流の政治経済学では、こうした国家のガバナンス・システム内での「再生産」の機能についてはこれまでほとんど問題とされることがなく、近年、こうした研究の傾向に対して、フェミニスト政治経済学/批判的政治経済学が批判を加えている。そこで、本報告では、まず、再生産とガバナンスの関係について理論的整理を行い、国家のガバナンスについて理解する際に、「再生産」の視点からガバナンス・システムを分析することが非常に重要であることを論じる。その上で、本報告では、日本のケースを取り上げ、統治システム内で「再生産」が果たしてきた機能を明らかにするために、近代日本の歴史的な文脈の中でどのようにして「再生産」に配慮した統治システムが形成され、時代状況の変化に対応して調整/再調整されてきたのか、また、そこではどのような統治技術が用いられていたのか具体的に辿っていく。さらに、報告の最後の部分では、近代/現代日本における「再生産のガバナンス」が個人の日常生活に対して持っていた意味についても考察する。

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