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地方政府の制度構造とガバナンス ― 比較政治学から考える

報告要旨

 地方政府の運営と統治を「地方政府ガバナンス」と総称するならば、日本の地方政府ガバナンスに関しては、中央政府との関係、住民との関係、地方政府の行政職員のあり方などに焦点が向けられ、政治的要素としては首長への関心にとどまってきた。  しかし、地方政府もまた政府であり、かつ日本の場合には首長と議会が別々に公選される二元代表制(権力分立制)を採用している以上、行政部門と立法部門の間に存在する関係が地方政府ガバナンスに何らの影響も与えないとは考えにくい。実際にも、古くは革新自治体、最近では地域政党の例が示すように、首長と議会の関係は地方政府ガバナンスを強く規定しているのである。  本報告では、このような認識に基づいて、比較政治学における制度分析(比較政治制度論)を援用しながら、現代日本の地方政府がどのような制度構造を持ち、それが地方政府ガバナンスをいかに規定しているのかについて、体系的な理解を提示することを試みる。  具体的には、比較政治制度論が重視する選挙制度と執政制度のあり方に注目する。日本の地方政府の場合、選挙制度が大選挙区制(中選挙区制を含む)中心であること、執政制度について首長優位の大統領制を採用していることが特徴である。これらの特徴が何をもたらすのかについて考えてみたい。  またあわせて、制度構造がもたらすガバナンスの特徴は、現代日本の地方政府が直面する課題に対してどのような応答につながりやすいのか、それをどのように評価すべきなのかについても検討を加える。

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