研究活動
プロジェクトセミナー
報告要旨
巨大災害と、いまだ収束を見せない原発事故。日常性の底が抜け、3.11以前のあらゆる前提が再検討されざるをえなくなった。 企業をモデルとする民営化的なガバナンスはその限界を示しているように見える。激甚かつ広範囲な災害からの復旧と復興のために、政府の役割が短期的には再評価されよう。自治体への分権論にも一定の見直しは避けられまい。阪神大震災後に市民社会への期待がふくらんだが、ガバナンスをめぐる議論は新たな段階に入った。 原発事故との関係で、人々の生命と生活への重大なリスクを前に、「生権力」が類例のない形で展開している。今回の危機は、セキュリティをめぐる政治理論に対して、何を問いかけているのか。フクシマと東京との「距離」が意味するものは。現場の作業員たちに苛酷な労働を強いている私たちの責任は。 大自然の猛威と、人間が呼び出したフィジカルな脅威の前に、私たちは立ちすくんでいる。今、社会について考えることはいかにすれば可能か。第一歩として考えてみたい。