黄色い大地での植林(山西省)

西安を朝車で出発、高速道路を北上したのち高速を下りて東へ向かう。陜西省と山西省の省境が近づくにつれて乾燥した風景が広がる。省境を黄河が流れている。
その黄河が10数メートルほど落下するのが左の「壺口の滝」である。
滝の高さはそれほどないのだが、黄河の水量が
多いので恐怖を感じさせるほどの重量感である。
壺口の滝から山西省側を見ると、左のように草木がまばらに生えるだけの荒涼とした光景が広がる。
ここは黄土が200メートル以上堆積している大地である。年間400-600㍉ぐらいの降水量があるので、本来こんな砂漠のようになるべき土地ではない。
黄土むき出しの大地は、黄砂が巻き起こすだけでなく、水によって容易に浸食されて、土壌流失、洪水や土石流被害などをもたらす。
この黄色い大地を緑の大地に変えるための植林が、日本のODAやNGO、そして地元政府などの手によって行われている。
右は山西省政府によって行われた植林。人の背丈を超えるぐらいまで木が生長した。
長年の伐採の結果、1949年の時点で森林被覆率が3%にまで落ちていた山西省では、新中国成立以降、のべで省の面積の3倍にも及ぶ植林が行われてきた。しかし、最近でも森林被覆率は13%でしかなく、植林の試みはほとんど失敗した。
そうしたなか、1991~95年に日本のODA(技術協力)によって行われた植林は左の写真のごとく10メートル以上に成長した。
この成功と、そこで得られた経験を元に、山西省政府は省内全域における大規模な植林事業を展開している。

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