「日中関係の多面的な相貌 アジア経済」(平成22年度夏学期)

★本講座については、ASNETサイト内の「日中関係の多面的な相貌  アジア経済」ページもご参照ください。


【授業概要】

授業科目名:アジア経済

講義・演習題目(和文):日中関係の多面的な相貌

講義・演習題目(英文):Multiple Dimensions of Sino-Japanese Relations

 

2010年4月23日(金)開講

 

責任研究科 : 大学院経済学研究科

科目番号 : 修士29503-15、博士29513-11

 

担当教員 : 丸川知雄

 

開講学期・単位等:夏学期/2単位/週1コマ

授業時間 : 金曜日3限(13時00分-14時30分)

 

場所 : 本郷キャンパス社会科学研究所549室 (赤門総合研究棟5階)

 

使用言語 : 日本語

 

内容:

21世紀に日本と中国はどのようなパートナーになるのだろうか。日本と中国の関係を、政治外交関係、投資と貿易、社会、食料、企業間競争、歴史認識問題など、多角的に掘り下げて分析する。

This course will analyze and try to forecast Sino-Japanese relationship in the 21st century. The topics which will be dealt with in this course include political and diplomatic relationship, foreign direct investment and trade, food security, competition of Japanese and Chinese firms, and historical issues.


【予定表】

4月23日

第一回 オリエンテーション
「アジアのなかの日中関係」

末廣昭(社会科学研究所)

※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF117KB)
4月30日

第二回 「日中政治関係史:国交正常化から今日まで」

高原明生(法学政治学研究科)

国交正常化以来の日中関係を振り返り、その今日までの展開について政治を中心におさらいする。二国間関係に影響を及ぼしてきた、それぞれの国内要因、そして国際環境要因を分析する。
参考文献:田中明彦『日中関係1945-1990』(東京大学出版会、1991年)、家近亮子・松田康博・段瑞聡編著『岐路に立つ日中関係』(晃洋書房、2007年)
5月7日

第三回  「日中間の安全保障問題」

高原明生(法学政治学研究科)

日中関係の発展のためには、安全保障問題への対応が不可欠である。中国が軍拡を続けるのはなぜなのか。どうすれば日本と中国は衝突することなく、共生していけるのか。
参考文献:茅原郁生編著『中国の軍事力―2020年の将来予測―』(蒼蒼社、2008年)
5月14日

第四回  「日中農業問題」

田嶋俊雄(社会科学研究所)

2007年の国際的なエネルギー・穀物価格の高騰を受け、中国はコメ、コムギ、トウモロコシなどの「輸出規制」を実施した。しかしリーマンショック前後の乱高下を経て、中国各地の穀物倉庫には余剰農産物にあふれている。他方でダイズは年間4000万トン台の輸入依存が基調として定着している。日中の食糧安保は如何に担保されるのか。
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF680KB)
5月21日

第五回 「日中モータリゼーション比較」

田嶋俊雄(社会科学研究所)

「汽車」=「自動車」ではない。市場規模にして年間約200万台の「農用車」(低速貨車)を抜きに、中国の自動車産業は語れない。対する日本では「軽自動車」や「オート三輪」が高度成長期の市場を牽引し、前者は今に続く。4兆元に及ぶ内需拡大の一環としての「汽車下郷」は、果たして正しい政策だったのか。
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF1640KB)
5月28日

第六回  「オフショア開発」

田嶋俊雄(社会科学研究所)

日本社会のオンライン化やハイテク化を支えるソフトウェア開発は誰がどこで担っているのか。大連ハイテクパーク、同ソフトパークを中心に、対日オフショア・ソフトウェア開発の現状と問題点を検証する。
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF1700KB)
6月4日

第七回 「対中ビジネス苦難の歴史?:
日本人ビジネスマンがみた改革開放の30年」

園田茂人(東洋文化研究所)

1980年代、細々と始まった対中投資は、2010年になって日本経済に巨大なインパクトを与えるまでに成長した。その間、対中ビジネスに携わってきた日本人ビジネスマンは、中国でどのようにふるまい、どのような苦労を抱えてきたか。彼らの話を時系列的に配置することで、中国の改革開放30年の(非)変化が見えてくる。
必読文献:資料(1)「日本企業にとっての中国ビジネス文化」
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF568KB)
6月11日

第八回 「『友好』概念の終焉?:日中交流事業の歴史と現況」

園田茂人(東洋文化研究所)

日中交流事業を支える理念は何か。そこに、どのような困難や歴史的変化が見られるか。交流事業に携わってきた人々を対象にしたインタビューから、日中を結びつけてきた「友好」概念の変容が透けて見える。インタビュー記録の精読から、日中交流事業の歴史と現況を概観してみたい。
必読文献:資料(2)「日中交流概観調査:国内における諸機関・団体の活動状況を中心に」
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF668KB)
6月18日

第九回 「日中を阻むナショナリズム/歴史認識?:
若者の価値意識を中心に」

園田茂人(東洋文化研究所)

大規模な人的移動が発生し、「東アジア共同体」が議論される昨今にあって、日中間のパートナーシップに疑問が投げかけられている。日中のナショナリズム/歴史認識をめぐる相克はその一つだが、中国の若者はどのように日中関係を見ているか、データ分析からその特徴を明かにしつつ、今後のあり方をめぐって討論してみたい。
必読文献:資料(3)「中国人大学生に見られるナショナリズム意識と歴史認識問題に対する態度」
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF464KB)
6月25日

第十回 「生活のなかの日中関係」

丸川知雄(社会科学研究所)

2008年1月に起きた「毒ギョーザ事件」の記憶はまだ生々しいが、日本の生活のなかに中国製品はどれぐらい入り込んでいるのだろうか。いまや日本の最大の貿易相手国となった中国との貿易の現状を、日常生活に近い側面から明らかにする。
参考文献:丸川知雄『「中国なし」で生活できるか』PHP研究所、2009年
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF562KB)
7月2日

第十一回  「日本企業と中国企業の競争:太陽電池のケース」

丸川知雄(社会科学研究所)

中国企業と日本企業は多くの場合補完的関係にあり、正面から競争することは少ないが、両者が正面から競争している数少ない分野の一つが太陽電池である。太陽エネルギーは21世紀末には人類のエネルギーの7割を賄うとも見込まれており、太陽電池は将来有望な産業であるが、その有望産業で日本企業の成長は鈍く、新興の中国企業や欧米企業に追い抜かれてしまった。この講義ではなぜそんなことが起きているのか分析する。
参考文献:丸川知雄・中川涼司編『中国発・多国籍企業』同友館、2008年
※講義資料をこちらからダウンロードできます(PDF408KB)
7月9日

第十二回 「日中歴史認識問題における満洲問題」

峰毅

日中関係を満洲問題から考えたいと思います。去る1月31日,日中歴史共同研究書が公表されました。2006年10月の安倍首相訪中で共同研究が始まってから,当初予定の2年間を1年以上も上回った難産の共同研究成果です。この共同研究書をテキストにして,最初に,日中歴史認識問題における満洲問題を考えてみたいと思います。その上で,満洲経済の工業化の局面からみた講師の歴史認識をお話します。歴史認識問題に正解はありません。両国国民の認識一つ一つが意味を持ちます。産業界出身の中国経済研究者である講師は,軸足を戦前満洲に進出した日本企業においています。このような講師の歴史認識をたたき台に,出席院生諸氏との討論を重視したいと思います。
参考文献:(次の3点のなかから1点を読むこと)
・植民地文化学会・東北沦陷十四年史総編室(2008)『(日中共同研究)「満洲国」とは何だったのか』小学館
・劉傑・三谷博・楊大慶編(2006)『国境を超える歴史認識』東京大学出版会
・劉傑・川島真編(2009)『1945年の歴史認識』東京大学出版会
7月16日

最終回 「日中歴史認識問題と満洲問題」

峰毅

 



【小論文課題】
 

下記の5題のなかから一つのテーマを選び、3000-4000字程度(400字×8~10枚)の小論文にまとめてください。使用言語は日本語、中国語、英語いずれも可。(中国語の場合、2000-3000字程度。英語の場合、1000-1200 words程度)

 

1. 国交正常化後の日中関係の促進要因と阻害要因を分析し、それを踏まえて今後10年間の日中関係の展開を展望せよ。表題は自由につけてよい。

2. 日中関係のここ30年ほどの変化をテーマに、以下のキーワードを必ず一度は用いて、自由に論じなさい。 【友好、ナショナリズム、ビジネス】

3. 経済分野における日中間の補完もしくは競合する関係について、いくつかの産業に即し、具体的に論じなさい。

4. 成長を続ける中国経済の最大の課題は何であると考えるか論じなさい。

5. 満洲問題あるいは日中歴史問題に関して思うところを自由に論じなさい。

 

締切・提出先:

2010年8月13日17:30までに、社会科学研究所・丸川知雄宛にメール添付(marukawa@iss.u-tokyo.ac.jp)、または社会科学研究所1階の丸川のポストに投函。


(更新日:2010年7月22日)