東京大学社会科学研究所

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研究

『社会科学研究』第65巻第2号

グローバル化時代の抵触法
Conflict of Laws in the Era of Globalization
横溝大/YOKOMIZO Dai

Keywords: グローバル化, 抵触法, ガヴァナンス, 法多元主義, 公法と私法

抄録

本稿の目的は, グローバル化に対応した抵触法の在り方を巡る近時の議論動向を採り上げ, その意義と問題点を探ることにある。社会のグローバル化 は, 抵触法の前提である, 法の抵触が国家法の間でしか生じないという国家中心的な考え方, 及び, 公法・私法の区別に基づき私法のみを準拠法選択の対象とするという考え方に対し大きな動揺を与えている。グローバル化による私人の影響力の上昇と国家の影響力の後退が主として齎すこうした新たな状況に対応するため, 近時では, 従来の抵触法の基本的枠組に替えて, 法の抵触の調整に関して新たなアプローチを主張する見解が幾つか登場している。本稿では, これらの新たなアプローチの特徴として, グローバル・ガヴァナンスのための抵触法, 普遍主義的アプローチ, 機能的アプローチ, 手続基底的アプローチという4点を幾つか指摘した上で, その意義と今後の課題について述べる。

abstract

This paper discusses how the conflict of laws is trying to respond to the challenges brought by the globalization. The globalization of economy and society has brought challenges to the assumptions that the traditional conflict of laws is based on: 1) the state-centered assumption that only the state can create law, and that as a result, the conflict of laws can happen only horizontally, namely among state laws; 2) the public/private distinction. How effectively can the conflict of laws respond to these challenges brought by the globalization? Is the conflict of laws still workable under these situations? This paper describes and analyzes the new approaches of the conflict of laws.

社會科學研究 第65巻 第2号(2014-03-31発行)

(更新日: 2014年 03月 31日)

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