東京大学社会科学研究所

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研究

『社会科学研究』第59巻第1号

テロリズムと人権 : 多層的人権保障メカニズムの必要性と可能性
Human Rights in Era of Terrorism-Necessity and Possibillity of Multi-layered
江島晶子/EJIMA Akiko

Keywords: イギリス, テロリズム, 裁判所, 議会, ヨーロッパ人権条約,

抄録

 本稿は,テロリズムおよびそれに対抗して導入されるテロリズム対策について, 人権の観点から検討し,その問題点を析出すると同時に,問題に対するアプローチとして多層的な人権保障メカニズムの必要性と可能性を模索するものである.具体的には,第一に,イギリスを素材として,「9・11」以降,相次いで導入されたテロ対策立法を概観し,その特徴と問題点を析出しながら,立法の導入過程およびその影響について分析する.第二に,上記の分析を踏まえながら,テロリズム対策が自由と安全の調整問題であるとした場合,それが立法過程および司法過程においてどのように取り扱われるかについて,それぞれの特性に注目しながら検討する.第三に,ヨーロッパ人権条約および1998年人権法(イギリス)の役割を考慮に入れながら,事前および事後に,複数の機関(国際機関を含む)によってテロリズム対策を定期的に検討する機会の備わったメカニズムの必要性を検証し,かつ必要であるとすればどのようなプロセスが設定できるのか(可能性)について検討する.

abstract

The paper examines terrorism and measures for counter-terrorism from the perspective of human rights and argues the necessity of multi-layered mechanism for protecting human rights in order to cope with the difficult question of balancing national security and human rights. It emphasises the possibility to establish such mechanism by observing the current UK experiences, particularly the new role of the judiciary as a guardian of human rights (post 1998 Human Rights Act era) and the increasing importance of the European Convention on Human Rights and the case law of the European Court of Human Rights.

社會科學研究 第59巻 第1号(2007-12-17発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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