東京大学社会科学研究所

東京大学

MENU

案内

社研卒業生の現在(いま)

岡部 恭宜 さん

現在、国際協力機構JICA研究所でご活躍の岡部恭宜さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

岡部恭宜さん

JICA「地球ひろば」(開発援助の広報施設)にて

プロフィール

岡部 恭宜(おかべ やすのぶ)

国際協力機構JICA研究所(主任研究員)

専門分野:比較政治学、東アジアとラテンアメリカの政治経済学

社研在職期間:2008年4月~2010年4月

助教

 社研は、私が半人前ながらも研究者として勤務した最初の組織であり、博士論文を完成させ、それを本として出版した場所でもありました。そして現在の研究に結びつくような様々な経験をさせて頂きました。その意味で非常に思い出深いところです。

 社研の魅力の一つは学際性にあると思います。政治学、法学、経済学、社会学など、社会科学研究所の名に相応しい様々な社会科学の研究者が在籍され、学問の垣根を越えた研究が行われています。

 当時の私の研究テーマは、政治学の立場から、韓国、タイ、メキシコの金融危機や金融改革を分析するというものでしたが、その延長で中央銀行の独立性の調査も行っていました。こうしたテーマが学際的であったこともあり、社研では、お世話になった先生方や研究会を通じて、様々な学問から刺激を受けていました。

 まず、当時所長をされていた末廣昭先生に、タイの政治経済研究の御指導を頂いたり、東アジア福祉システムの研究会に参加させて頂いたりしたことは、貴重な経験でした。本来私の専門地域はラテンアメリカのはずなのですが、今もタイの魅力に取りつかれているのは、末廣先生の影響が大きいためかもしれません。

 さらに、樋渡展洋先生、平島健司先生、グレゴリー・ノーブル先生、大瀧雅之先生からは、政治と経済の関係についての様々な議論から着想のきっかけを頂きました。それは現在進行中の研究にも繋がっています。

 また、Social Science Japan Journal(SSJJ)の編集会議に助手として参加したことも良い思い出です。当時の編集長は石田浩先生でしたが、編集のお手伝いや議論への参加を通じて、学術雑誌の編集や査読のあり方を学ぶ絶好の機会を頂きました。

 それから、「若手研究会」が今も続いていると聞きました。あれは2008年末か2009年初めの頃でしょうか、助教や特任研究員が交流を深める場があれば良いですねと、今年3月まで社研にいらした佐藤慶一さんら有志数名と共に立ち上げたものです。その後も活発に開催されていると知り、嬉しく思っております。

 さて、現在はJICA研究所という、これまた学際的な職場に勤務しています。政府開発援助を行うJICAの研究部門として、ここでは、政治学、経済学、人類学、教育学など開発に関わる様々な分野の研究者が同居し、それぞれの学問に基づく研究と、開発や援助という実践とが、バランスを保ちつつ互いに刺激し合っています。

 私の研究テーマは、一つは金融危機研究の継続であり、社研時代には取り組めなかった2008年のリーマンショックも射程に入れた研究を行っています。もう一つ、折角なのでJICAらしい研究をしたいと選んだのが、青年海外協力隊の研究です。この国家が行うボランティア事業は、人類学や組織論からだけでなく、政治学や国際関係論から見ても面白いテーマであり、国内初の体系的な研究を目指して同僚たちと頑張っています。

社研時代も現在も、東アジア、ラテンアメリカと先生のテリトリーは広範囲ですね。今後のますますのご活躍をお祈りしています。今日はありがとうございました。

(2013年6月20日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?
国立公文書館今年3月、外交史料収集のためにワシントンD.C.を訪れたのですが、そこで体調を崩して医療マッサージを受けました。そのときセラピストから私の名前を聞かれたので、「Yasunobuは長いから、外国人からはYasuと呼ばれています」と答えると、「Really!?」と驚いた様子。なんとその人の飼猫の名前も「Yasu」とのこと。同じ名前の猫が可愛がられていると思うと、くすぐったいような感じです。 猫


写真:国立公文書館(NARAII)の玄関前にて(2013年3月)
TOP