研究活動
プロジェクトセミナー
近代日本のローカル・ガバナンス
- 報告者: 五百籏頭薫 (東京大学社会科学研究所)
- 日時:2013年4月25日 14時50分-16時30分
- 場所: センター会議室(赤門総合研究棟5F)
- 対象:学生・院生・教職員
報告要旨
ローカル・ガバナンスとは、①政府と民間のアクターが多元的である、②政府と民間の間を含め、アクターの間に双方向の影響関係がある、③影響関係について、統治や委任・服従といった統治者・被治者間で想定される類型を一義的に割り当てることはできない、という状態であると考える。
したがって、ローカル・ガバナンスという用語は、それだけでは、現実のあいまいさや複雑さを強調するのみであって、分析の助けになるとは考えにくい。
もっとも、ローカル・ガバナンスが要請される状況であるか、ローカル・ガバナンスの度合いが強まっているか、などについて議論することはできる。しかし、報告者の考えでは、ローカル・ガバナンスが要請されるのは新しい現象ではなく、近代日本の地方はほぼ恒常的にこの要請の下にあった。その経緯をたどることで、これ以上の議論の空転を避ける準備をするというのが、報告の目的である。
こうした観点から、明治地方自治制の成立、地方改良運動、新生活運動を、それを推進する論理と地域社会の反応に着目して考察する。
(注) 通常と異なり木曜日の開催です。また、今年度から開始時間が10分早まります。