自己点検・自己評価報告書

外部評価の実施にあたって

東京大学社会科学研究所の現状と課題
━自己点検・自己評価報告書━

外部評価の実施にあたって

1. 外部評価実施の経緯

 東京大学社会科学研究所は、いわゆる外部評価の必要性が指摘されて以降、「恒常的外部評価」の考え方の下に研究所の運営を行ってきた。「恒常的外部評価」とは、研究所の日常の研究活動及びその成果を可能な限り開かれたものとして対外的に提示して、批判と評価をうけながら、それらを研究所の研究活動にフィードバックさせるという考え方である。

 今回の外部評価の実施は、1998年7月9日及び16日の教授会で審議された。そこでは「恒常的外部評価」の考え方を発展させ「プロセスとしての外部評価」の考え方が採用され、その上に立って社会科学研究所の研究活動の総体について第三者の総合的な評価を受けることが決定された。「プロセスとしての外部評価」の趣旨は、「第一に、社会科学研究所のこれまでの実績・活動の現状を点検し、制度改革を実現し、現在議論している内容を整理し、今後の研究所のあり方について検討する、そのような研究所における自己点検・自己評価のプロセスを客観化し、それに対して第三者の評価をあおぐこと、第二に、研究所の研究活動のあり方それ自体のなかに、外部評価のモチーフを内在化していくことを志向すること」として確認された。

2. 外部評価実施の要綱

 1998年7月に所内の外部評価実施準備委員会が設置された。この委員会は、外部評価実施スキームを確定し、外部評価委員を委嘱することを課題にした。1998年11月26日の教授会は委員会の提案した外部評価実施スキームを承認した。それは次の通りである。

(1) 基本的考え方と目的

 社会科学研究所は、比較総合的社会科学研究の推進という研究所の使命を果たすべく、研究所と所員の活動の全体をたえず外部に公開し、国民へのアカウンタビィリティを高め、自らの研究所の活動とあり方に対する批判を受けることが重要であると考え、それを「恒常的外部評価」、または「プロセスとしての外部評価」として定式化し、研究所の活動の評価の問題を位置づけてきている。「プロセスとしての外部評価」というのは、研究活動に対する外部からの評価を一定の時点におけるイベントに解消するのではなく、研究所の活動の展開の過程(プロセス)の中で、絶えずそれを公開し、評価のために提出することが重要だという考え方である。今回実施を準備する外部評価は、以上のようなプロセスとしての外部評価のもとで、あらためて集中的かつ総合的に、社会科学研究所の全体の活動について、自己点検・評価に基づきながら、第三者の評価を受けることを目指すものである。

(2) 具体的な実施スキーム

(a) 評価の基本的方法

  1. 総合評価および個別評価の2方法で行う。
  2. 総合評価は、社会科学研究所の目的、組織、活動の全体について、総合的所見を求める。
  3. 個別評価は、「全所的プロジェクト研究」および「日本社会研究情報センター」について求める。
  4. 総合評価には、社会科学研究所の全体像を特徴づける自己点検・自己評価報告書(「社会科学研究所の現状と課題」)、及び3.の個別評価を基本資料として提出する。
  5. 各所員の研究活動については、研究者個人としての業績の自己評価と並んで、研究所のスタッフとして研究所の全体の研究活動にどのような寄与を行っているか、また、自己の業績が研究所のスタッフであることを通じてどのような特色を持つものとなっているかについて、各自が研究経過報告書を作成し、これを自己点検・自己評価報告書に掲載する。
  6. 研究者個人の業績評価については、人事制度に基づく自己点検を外部評価の実施と並行して行うこととする。これ自体は外部評価ではないが、人事制度のあり方として総合評価の対象とする。1999年度に教授任用後7年を経過した者について、自己点検に基づく外部評価によって業績評価を行う。
  7. 外国人研究者による社会科学研究所への評価的意見を求めて、これを総合評価の副次的資料とする。研究所にこれまで滞在した(外国人)客員研究員・研修員に対するアンケート調査を実施し、研究所の果たした役割についての客観的データ及び評価的意見を集約する。研究所がこれまで招聘した外国人客員教授の評価的意見(評価及び今後の研究所への役割についての意見)を収集する。

(b) 評価委員会の構成

  1. 総合評価委員の委嘱については、総合評価委員会が社会科学の学術研究への造けいと共に日本の学術体制の動向および学問の発展方向について総合的な知見と判断を有するものとなるように考慮する。外国人研究者にも委嘱するが、この場合社会科学研究所の外国人客員教授として招聘されたことのある研究者は原則として除く。総合評価委員会(10名以内)は、提出された自己点検・自己評価報告書、個別評価の結果、外国人研究者からの評価的意見を文書資料とし、研究所側からのヒアリング、視察などに基づいて、研究所の活動とそのあり方についての総合所見を行う。
  2. 個別評価については、「全所的プロジェクト研究」及び 「日本社会研究情報センター」のそれぞれについて専門家パネルを組織する。委員は研究者に限定しない。

(c) 自己点検・自己評価報告書「社会科学研究所の現状と課題」の構成

  • 社会科学研究所の「特徴」、「現状の問題点」および「目指すべきあり方」を明確に提示し、それを裏付けるレポートにする。日本語で刊行し、サマリーを英文で作る。
(3) その後の体制

 「プロセスとしての外部評価」の趣旨に基づき、研究所内に自己点検・自己評価委員会を継続的に設置する。従来の自己点検体制の整備改善を図ると共に、総合評価委員会の報告書の内容を踏まえて、研究所のあり方と活動の見直しを図っていく。また、引き続き研究所の将来構想や管理運営のあり方について、外部の研究者・有識者から評価とアドバイスをえる体制を検討する。

3. 外部評価委員会の構成

 所内の外部評価実施準備員会は、以上のスキームに基づき、外部評価委員の委嘱を行い、1999年4月に「社会科学研究所外部評価委員会」が以下の8名の委員の構成によって成立した。

国内委員
石井紫郎 国際日本文化研究センター教授 法学
北川善太郎 名城大学教授・国際高等研究所副所長 法学
高畠通敏 駿河台大学教授 政治学
寺西重郎 一橋大学経済研究所所長 経済学
吉川弘之 放送大学学長・日本学術会議会長 工学
国外委員
Curtis, Gerald コロンビア大学教授 政治学
Kim, Young-Ho 慶北大学経商学部長 経済学
Sako, Mari オックスフォード大学教授 経営学
4. 本報告書の構成

 所内の外部評価実施準備委員会は、1999年4月から外部評価実施委員会として体制を整え、外部評価実施スキームに基づいた具体的な作業を行ってきた。本報告書の作成はその主要な仕事である。本報告書は、附属資料を含めて外部評価委員会に評価のための文書資料として提出されるものである。

 報告書は、 第I部総論、第II部各論、第III部所員の研究活動、及び第IV部資料編から構成され、社会科学研究所の活動の総体(研究所の組織と運営、研究活動、教育活動、国際交流及び日本社会研究情報センターの各項目が立てられている)について1985年の大部門制導入以降の時期を中心に記述し、分析を行い、それらを踏まえて、研究所の今後のあり方について展望するものである。総論は、社会科学研究所の沿革にふれた上で、現状及び展望について、各論以下の具体的な記述を踏まえた全体の要約版としての意義をもつように叙述されているので、総論だけでも社会科学研究所の全容と将来構想の概要を知ることができる。研究所スタッフの研究活動については、最近10年間の活動を中心にしてそれぞれが自己点検したレポートを第III部に収録している。

 本報告書と合わせて、「外部評価実施スキーム」が示しているように、次の2つの附属文書及び1つの附属報告書が外部評価のための資料として、外部評価委員会に提出される。

  1. 全所的プロジェクト研究に関する専門家パネルの結果のとりまとめ文書
  2. 外国人研究者に対するアンケートの結果のとりまとめ及び社会科学研究所で研究のために滞在した外国人研究者についてのデータ一覧

さらに

  1. 日本社会研究情報センターに関する専門家パネルによる報告書

が追って提出される予定である。

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